オフィスお役立ちコラム
 
オフィスお役立ちコラム

『 移転心得 』

4. コストの正体を知る

基準単価の違いに注目

さて、今回はいよいよ移転のコストについて考えてみます。
改めて、移転にかかる費用にどのようなものがあるか確認してみましょう。

●引越し作業の費用
●不動産に関わる費用(賃貸料、敷金、礼金、保証金、仲介手数料、など)
●オフィス家具や備品の新規購入費用
●電気、通信関連工事費用
●内装工事費用
●セキュリティ関連費用
●不用家具の廃棄費用

移転のコストを少しでも抑えたい。どうすればよいか。
「家具は、今使っているものを、そのまま持っていけばいい。」とか、「内装は極力手をかけず、来客の目に触れる受付まわりだけちょっと見栄え良くしよう。」など結論を急がずに、まずは<移転コストが高くなる要因を整理>しましょう。お金は、かけるべきところにはかけるべきで、無駄な出費を抑えることが大切です。

ところで、移転が決まると、「トータルでいくらぐらいかかるかを知りたい。」と考えますね。こうしたニーズが多いためか、オフィス移転コストをシミュレートできるサイトがいくつかあります。このサイト内にもあります。あなたも既にトライされたかも知れません。実際にやってみるとわかりますが、「何でこんなに、金額に幅があるんだろう。」と、感じると思います。同じ人数、同じ広さでシミュレーションしているのに、合計金額に何倍もの差が出てきてしまう。「結果にこんなに差があるんじゃ、あまり参考にならないな。」と思いませんか。この差は一体、何に起因するのでしょうか。

不動産関連の費用やオフィス家具の費用、内装工事の費用などは、高くなる理由や安く抑える方法を比較的容易に想像できますね。ちょっと極端な例ですが<六本木の新築高層ビルに移転し、家具はすべて新調。流行を取り入れたモダンなインテリアにする>というケースと、<最寄の駅からバス利用、年季の入った雑居ビルに、長年使用している家具を持ち込み、既存設備をそのまま利用する>というケースの差、ということです。さらに、不用家具の廃棄費用についてですが、棄ててしまえばゴミですが、上手にリサイクルすれば負担が激減します。(詳しくは、本サイト内のリサイクルの説明ページを参考にしてください。)

その一方、引越し作業費用や電気工事費用などは、単価の差が何によって生じるのか、わかりにくいのではないでしょうか。
試しに、本サイト内「費用の目安」ページの「概算費用シミュレーション」を見てみましょう。この中の、「1.移転費用」の単価選択のポップアップリストを見ると、一人当たりの単価のバリエーションが18,000円、30,000円、50,000円となっています。最低金額と最高金額との間には、約2.8倍もの開きがあるのです。欄外の「各項目の単価について」の項で、<高額になる要因>と<低額になる要因>が説明されていますが、引越し作業の費用や電気工事などに見られる標準価格の差、その正体がわかれば、コストを抑える方法も見えくる、というわけです。

引越し作業〜人工(にんく)と時間がコストを決める

まず、引越し作業を専門業者に委託する際にかかる費用ですが、これを左右するのは、ズバリ、<作業に必要な人員の数と作業にかかる時間>です。つまり、必要人員数
が多いほど、また、時間がかかるほどコストが高くなる。「んなの、当たり前でしょ・・・」と思うかも知れませんが、少し具体的に考えて見ましょう。

必要な人員数が多くなるケースとは―例えば、荷物の量が膨大であるとか、短時間で引越しを終えないといけないなどの条件によって生じます。
一方、時間はというと、トラックで移動する距離はもちろん、オフィスとトラック間の搬入と搬出に要する時間、つまり台車や人の手で運ぶのにかかる時間も見逃せません。具体例で考えてみましょう。
次の2つのケースを比較したとき、トラック走行時間は同じであっても、CASE-2はCASE-1に比べて搬出・搬入に時間がかかるため、トータルの所要時間はまったく異なります。同じ量を、同じ制限時間内に運ぶ場合、このような条件の差が引越し作業コストを左右するというわけです。カンの良い人なら、「エレベーターの速度や台数、定員や積載量によっても、コストが変わってくるということか。」と、ピンときたことでしょう。

特に、引越しの専門業者が算出した所要時間を大幅に短縮しなければならないようなスケジューリングは、コストアップの大きな要因となります。そればかりか、荷物の破損や紛失などトラブルが発生するリスクも高くなります。
<無理な工程での引越しは、コストだけでなくリスクも高める>ということを肝に銘じておいてください。

やはりプロセスが大事なのだ

次に、電気や通信、空調などの設備工事についてですが、これらの費用を押し上げる要因は、<新しいオフィスに必要な設備、性能と、選定したビルのそれとの乖離>によって生じます。電気や空調設備の容量が不十分な場合、追加工事が必要となって費用が発生する訳です。これを防ぐには、必要な設備、性能を備えたビルを選ぶ、ということ。つまり、物件選定時に、要件として明示しておくことが必要なのです。
繰り返しになりますが、現状、ビルを選んでからオフィスプランニングに入る場合がほとんどです。その結果、物件選考に手間取ったり、予想外のコストがかかったりという状況が多くみられます。やはり、オフィス移転を成功させるには、プロセスがたいへん重要なのです。

そしてもう一つ。移転費用の中に含まれるべきなのに、あまり意識されていない事項があります。それは、オフィスの調査や分析、プランニング、インテリアデザインなど、
<オフィスプランニングのソフトに対する費用>です。
従来、オフィスのレイアウトなどは無料のサービスとしておこなわれるのが通例となっており、それは、今もなお続いています。しかし、これまで見てきたように、オフィス移転に際しては、準備の初期段階からオフィスプランニングに着手すべきであること、また、現状の調査や問題点の分析、新オフィスのコンセプトメークやデザインなど、専門家への協力依頼が不可欠であることを考えると、こうしたソフトについても、予算化することが大切であると考えます。

自ら描け、成功へのシナリオ

オフィスプランニングは、より複雑に、そして専門的になっています。そして、先見性のあるオーナーは、オフィス運営の重要性をすでに認識しています。オフィス移転を含むオフィスの管理・運営という業務について、大規模な企業では専門部隊を社内に組織したり、専門の会社にアウトソースして取り組んでいます。一方、個人事務所など小規模なオフィスの場合でも、オーナー自身がオフィスに対する明確なビジョンをもち、専門家の力を借りながら、それを具現化しています。
そのはざまで、オフィスプランという仕事や職掌が確立していない企業、オフィスを運営するという視点を明確にしていない企業においては、それを預かる担当者に、多くの負担と責任がかかっているのです。

以上4回にわたり、オフィスの移転について、一般には余り語られていない<担当者の心得>について取り上げてきました。ここまで読んでくださったあなたは、もう、「丸投げしちゃえ!」とは思っていないはずです。
さあ、これからはオフィスのセミプロを目指し、専門家の手を上手に借りながら、オフィス移転成功へのシナリオをぜひ自らの手で描いてください。

<移転心得 おわり>
*この章のPDF版をご用意しております。ダウンロードしてご活用ください。

 NEXTnaruhodo04.pdf(216KB)
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