倉庫の自動化により出荷能力向上と省人化を実現 │ プラス株式会社ジョインテックスカンパニー様

自動倉庫オートストア

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プラス ロジスティクスでは、倉庫の自動化やマテハン機器の導入といった大型倉庫のリニューアルのご相談を随時受け付けています。この記事では、プラス ロジスティクスが行った倉庫自動化の事例の中から、プラス株式会社において流通事業を展開しているジョインテックスカンパニー様(以下、ジョインテックス)の案件をご紹介します。

ジョインテックスの物流拠点のひとつ、「ジョインテックス東日本センター」では、施設の老朽化および別場所にあった東京センターの取り込みに伴い、建て替えを含めた大幅なリニューアルを実施。リニューアルにあたって「オートストア」や「ロータリーソーター」といった複数のマテハン機器を導入し、自動化倉庫へと進化を遂げています。これによって、大幅な出荷能力の向上と省人化、出荷品質の向上が実現しました。

 

人手不足は、物流業界でも大きな懸念材料です。「2024年問題」解決に向けて、物流DXによる省人化や業務改善に取り組みたい企業様は、ぜひこちらの事例を参考にしてください。

 

お客さま情報

社名 プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー
事業内容 オフィス向け通販「smartoffice」、学校・幼保園向け通販「smartschool

介護・福祉向け通販「スマート介護」等の運営

ビジネス形態 B to B
従業員数 単体:1,430名 連結:8,157名 (2022年12月31日現在)※プラス株式会社およびプラスグループ全体の従業員数
ご利用サービス センター運営
稼働までのプロジェクト期間 2年9ヵ月(キックオフからWMS導入・本格稼働までの期間)

ジョインテックスの“人がいる通販サイト”

 

お客さまが抱えていた物流に関する課題・ご要望

ジョインテックス東日本センターは、当初は関東1都6県および、甲信越3県、北海道、東北6県のエリアをカバーする物流センターとして2002年より稼働を開始しました。需要の拡大と出荷増増加への対応やサービスレベル向上を目的とし、2013年にはジョインテックス東北センター、2015年にはジョインテックス中部センターを新たに開設。北海道、東北6県は東北センターへ、甲信越3県のうち長野県、山梨県は中部センターへとそれぞれエリア移管されました。

ジョインテックス東日本センターのカバーエリア変遷

その後は、首都圏エリア(1都6県)と新潟県をカバーするセンターとして長らく稼働を続けていましたが、経年やビジネスの拡大に伴い、徐々に運営に支障が生じるようになっていました。ジョインテックスが抱えていた課題は下記のとおりです。

 

建物や設備の老朽化

建物や設備の老朽化が進んでいたことから、大幅な倉庫のリニューアルが必要でした。

 

ビジネスの拡大に伴う出荷作業の増加

ビジネスの拡大やSKU数の増加に伴って、出荷作業の処理能力が限界に。倉庫スペースも手狭になり、坪数の増加が必要でした。

 

こうした課題に対応するためには、倉庫のスペースを増やすとともに、業務効率化や省人化につながるマテハン設備の設計と導入、倉庫全体を制御、管理するためのWMS(倉庫管理システム)やWCS(倉庫制御システム)の導入が必要です。

そこで、プラス ロジスティクスが倉庫リニューアルの提案を行い、費用対効果の測定と検討を経て、リニューアルを実施しました。

 

 

自動倉庫へのリニューアルのポイントおよびソリューション

自動倉庫へのリニューアルを実現するにあたって、プラス ロジスティクスでは3つのポイントを提案し、実行しました。

 

作業生産性や品質向上につながるマテハン設備の設計

マテハンとは、倉庫内で商品や資材を運ぶための機器を指しますが、それぞれに特徴があります。

倉庫で必要とする複数のマテハン機器を過不足なく組み合わせることで、倉庫の効率的な自動化を実現。機器の特徴に応じて、省人化や品質向上、“魅せる化”といった多くのメリットが得られています。

 

■プラス ロジスティクスによるマテハン機器の評価表

プラス ロジスティクスが実施したマテハン評価

なお、保管効率について一部「×」となっているのは、設備の導入にスペースを要するものです。その分、倉庫面積が減るため、保管効率は下がってしまいます。

しかし、一定の面積を必要としたとしても、その分省人化や品質向上といったメリットにつながります。マテハンはニーズや倉庫面積に応じて導入を検討し、適切に設計することが大切です。

 

また、魅せる化とは、このリニューアルの完了後には最新設備をそろえる大型の自動倉庫となるため、ジョインテックスおよびプラス ロジスティクスグループのショールームとしての役割も担うことを想定。見学者を受け入れることで自動化倉庫のメリットを周知できるよう、“魅せる”倉庫として設計することも意識しました。

 

導入した機器の中から、「Auto Store」「自動封緘機」「DAS」の3つをピックアップし、機能や導入効果についてご紹介します。

 

  • Auto Store(オートストア)

Auto Store(オートストア)とは、「ビン」と呼ばれるコンテナを積み上げて商品を保管し、ロボットがビンの出し入れを自動で行う装置です。高い収納力を誇るとともに、倉庫内を人が歩き回って商品の出し入れをする必要がなくなることから、省人化と業務効率化、セキュリティの向上に大きく寄与します。

隙間なく積み上げられたコンテナの上をロボットが自動で走行。特に多品種少量の商品を扱う倉庫で高い効果を発揮するでしょう。

プラス ロジスティクスが運営するジョインテックス東日本センターに導入している自動倉庫型ピッキングシステム「Auto Store(オートストア)」

ロボットが自動で走行する自動倉庫型ピッキングシステム「Auto Store(オートストア)」。

 

  • 自動封緘機(シュリンク・ピロー包装)

自動封緘機(シュリンク・ピロー包装)とは、少量で小さな商品も、自動でビニール梱包できる設備です。ジョインテックスでは、鉛筆1本、消しゴム1つといった少量の商品も扱います。商品を合計した物量が規定サイズ以下の場合に活用しており、商品サイズに応じた梱包方法の自動選定を行えるだけでなく、荷札送り状の自動貼付も可能です。

割れ物や食品など、シュリンク包装に適さない商品の除外登録もできるため、梱包作業を効率化するとともに、商品の適性に合った梱包につながります。

 

プラス ロジスティクスが運営するジョインテックス東日本センターで導入中の「自動封緘機」

さまざまなサイズの商品にシュリンク・ピロー包装を行う自動封緘機。

 

  • DAS(デジタルアソートシステム)

DAS(デジタルアソートシステム)とは、複数のオーダーの出荷総量をまとめてピッキング(トータルピッキング)した後に、オーダー単位に仕分けをする作業を支援するシステムです。トータルピッキングによってオリコン(折りたたみコンテナ)の流量を減らし、効率良く業務を進められます。

複数オーダーの種まき検品機能や、オーダーごとにチラシ・納品書を投入する機能のほか、JAN検品や画像表示を行う機能を持っています。

プラス ロジスティクスが運営するジョインテックス東日本センターで導入中の「DAS(デジタルアソートシステム)」

トータルピッキングが可能となるDAS(デジタルアソートシステム)。

 

そのほか、自動製函機オリコンの自動組立機帳票類自動投入などによって、業務の効率化と省人化を実現。さらに、荷札の使用を変更して利用サービスのロゴを印字するなど、利用サービスの明示につながるリニューアルも行いました。

 

システム導入による物流業務の平準化

物流業務の効率化には欠かせないシステムについては、最適なシステムを選定して実施。WMSとWCSの活用で、倉庫全体の物流管理の効率化と、業務の平準化につながりました。

ジョインテックスの業務では、届け先が同一の受注が複数発生しますが、その都度発送を行っていると、1梱包あたりの物量が少量になってしまいます。そのため、一定容量になるまでは受注を留め置くルールがありますが、留め置いた受注を最終受注の締め時間近くにまとめて処理すると、最終受注時の作業量が膨大になるという課題がありました。

この課題を解消するために、WMSとWCSによる倉庫管理と、適したマテハン機器の導入を実施。改善した倉庫管理のフローは、下記のとおりです。

 

<リニューアル後の倉庫管理フロー>

  1. 受注後、即時ピッキングを行う。
  2. ピッキングした商品はオリコンに入れ、ロータリーソーターに一時保管する。
  3. 3-1. 追加受注が発生した場合は、ロータリーソーターの該当オリコンが払い出されて追加ピッキングを行う。一定の才数(※)を満たしたら梱包する。
    3-2. 追加受注がなかった場合は、受注締め時間にロータリーソーターから梱包上にオリコンが搬送される。

 

※才数とは、物流業界で使用されている体積を表す単位のひとつ。1辺1尺(約30.3cm)の立方体を「1才」と表し、重量に置き換えると1才=8.0kgです。

 

ロータリーソーターとは、立体的な空間を生かして効率的に商品の一時待機、整列、仕分けが可能なシステムです。ジョインテックスでは主に複数のオーダーの荷合わせを行う設備として活用しており、導入したことで、受注があるたびにピッキングや伝票の発行を行えるようになりました。

初回発注時に利用したオリコンに追加受注分を足していくことで、出荷業務の平準化と複数オーダーのまとめ発送を両立しています。

 

■ロータリーソータを活用したフローの例

プラス ロジスティクスが運営するジョインテックス東日本センターで導入中の「ロータリーソーター」

ロータリーソーターのようなマテハン機器を管理するとともに、オーダー内容の確認や伝票発行、梱包といった関連業務と連携を取りながら自動化していくためには、WMSやWCSの導入が必須です。マテハン機器とシステムを組み合わせ、スムーズに業務をこなせるように設計することが自動化の成功につながります。

 

 

倉庫の稼働を止めないリニューアルの実施

ジョインテックスのビジネスモデルは、お客様へ最適な調達環境を提供することを最大の価値としています。そのため、注文に応じて即日発送をしたり、メーカーやサプライヤーからの商品入荷を常時受け入れたりするために、全作業を止めずにセンターをリニューアルする必要がありました。通常業務を行いながら倉庫のリニューアルを成功させたポイントは、下記のとおりです。

 

<倉庫の稼働を止めずにリニューアルしたポイント>

  • いつ、どこで、どのような作業をするのかを綿密にスケジューリングする
  • スケジュールにもとづいた商品移動計画を立てる
  • 通常出荷に影響のない平日夜間や休祭日に商品の移動を実施
  • 新旧倉庫を並行稼働させる際は、混乱を防ぐために新倉庫用の部門コードを新設して独立管理

 

物流専門企業であるプラス ロジスティクスだからこそ提案できる作業時間の工夫や、綿密なスケジューリングを実施。

さまざまな物流の事情を把握したリニューアル過渡期における運用方法までを提案し、スムーズな移行を実現することができました。

 

 

お客さまのご意見・ご担当者様の声

 

当初の計画どおり、一日もセンターの業務を止めることなく新システムへの完全リニューアルを実現できました。自動化による生産性の向上と省人化の効果も出ています。

 

最新鋭のマテハン設備を見学できるよう見学場所を設置したことで、実際のオペレーションを見学していただけるようになりました。ユーザー企業様からの見学依頼も増えており、業界内での注目度が高まっていると感じています。

 

 

倉庫自動化や物流ロボットの導入はプラス ロジスティクスへご相談を

物流業務の効率化や省人化には、倉庫の自動化が効果的です。倉庫の自動化や物流ロボットの活用は、物流専門企業プラス ロジスティクスにお任せください。

物流ロボットの選定や運用方法によって、得られる効果は大きく変わります。プラス ロジスティクスでは、最新物流ロボットの知見を持った専門家の視点から、それぞれのお客様に適した物流設計を提案することが可能です。

 

本記事でご紹介したジョインテックスのセンターリニューアルでも、複数の要望をもとに提案を行い、それぞれのマテハン機器の導入に関する費用対効果について、綿密に打ち合わせをしました。どんな機器を導入し、倉庫にどんな機能を持たせるのが適切なのかを事前にしっかり検討することで、最適な倉庫の自動化を実現しています。

 

プラス ロジスティクスでは、自動化した物流センターの見学も可能です。実際の効果や自動化倉庫の様子を見ながら、ご検討いただけます。倉庫自動化の進め方や費用、設備導入後の運用方法などについて不安・疑問をお持ちのお客様は、お気軽にお問い合わせください。

 

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