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今回ご紹介するのは、“簡単に最安で最速のかっこいいオフィスづくり”を標榜し、オフィス家具の製造・販売から内装工事までをトータルに手掛けるオフィスコム株式会社様(以下、オフィスコム)の事例です。当社は2016年よりオフィスコムの物流センター構築と、運営管理を請け負っております。
オフィスコムでは業績が好調に推移していることで在庫量・入出荷量が増大し、物流拠点の処理能力が限界となっていたこと、また、当時入居していた物流施設が契約満了を迎えることから、2021年3月に物流センターの移転を決定。2021年8月より、新たなセンターへ物流機能を集約し「オフィスコム東日本物流センター」として運営をスタートしました。
お客さま情報
社名 | オフィスコム株式会社 |
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事業内容 | オフィス家具通販「オフィスコム」運営ほか、オフィス家具の製造・販売、内装工事など |
ビジネス形態 | B to B、B to C |
従業員数 | 205名(2022年10月) |
ご利用サービス | 物流戦略、センター運営、配送ネットワーク |
稼働までのプロジェクト期間 | 6ヵ月 |
お客さまが抱えていた課題・ご要望
自社で運営するオフィス家具通販サイト「オフィスコム」の売上が急速に拡大したことで在庫量も大幅に増加。物流体制の見直しを早急に図る必要がありました。
メイン拠点が保管キャパシティを超え、外部倉庫を常に利用している
売上増に対応するため在庫量も増やした結果、出荷も行うメイン拠点の倉庫保管能力では対応しきれず、外部倉庫を利用した2拠点での運営が常態化。賃借料などが別途かかり、物流コストがかさんでおりました。また、出荷業務はメイン拠点1か所のみで行っているため、外部倉庫に商品を保管することで在庫が分散し、作業が煩雑になっておりました。
調達コントロール、在庫量の調整、先入れ・先出し(*1)の不徹底など問題が多発している
在庫量のキャパシティオーバーにより、コンテナ入庫時期を調整することで在庫をコントロールしており、工数が増加。2拠点運営のため倉庫間の移動も発生し、すべてが煩雑化したことにより、商品管理が非常に困難な状況となっていました。WMS(庫内管理システム)上での管理は行っているものの、実際に商品を移動させるのはスタッフの目視となるため、本来ならば先に出荷すべき入荷時期の古い商品が外部倉庫に残ってしまうなど、管理業務の不備が発生しやすい環境となっていました。
*1 ) 先入れ・先出しとは…入荷(入庫)の時期が古い商品から順番に出荷する方法。保管している商品の品質が長期保管により劣化することを防ぐため、管理する上での基本となる考え方。こちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
既存の配送ネットワークを活用しながら、トータル物流コストの抑制をしたい
メイン拠点以外の外部倉庫、横持ち(*2)の発生などが原因で約10~15%ほど物流コストが上昇している一方で、利用中の配送ネットワークはコストパフォーマンスに優れており、これを活かした物流センターを再設計することで、トータル物流コストを抑えたい考えでした。
*2 )横持ちとは…工場や支店、倉庫など社内の拠点間で商品移送を行う場合の輸送のことをいいます。あくまで社内間の移送であり、お金を生まないことから、横持ちの回数はなるべく少ない方が良いとされています。
改革ポイントおよびソリューション
上記の課題などを踏まえて、当社がご提案した内容は以下の3点です。
既存の配送ネットワーク活用を最優先とした物流拠点のご提案
利用中である配送ネットワークの優れたコストパフォーマンスを活かし、配送費の維持が可能なエリアを条件に拠点を選定。今後の事業計画を基に伸長率も考慮し、保管効率、賃料などを総合的に判断した結果、5拠点の候補から最も適合している1拠点へ物流機能を集約するご提案をしました。
商品の入荷形態、形状などをふまえた最適な拠点設計
オフィス家具の特性上、その多くが大型・長尺の商品。仕入れ先・製造元からの輸送には主に40フィートコンテナが使用されるため、物流センターへはトレーラーで運搬されます。また、デバンニング(*3)が発生することから、入荷作業をスムーズに行える適切なスペースの確保と設備が必要となります。
オフィスコム東日本物流センターではコンテナの切り離し対応が可能な拠点設計を行うと共に、スペースを圧迫しがちな大型商品を効率良く格納できるよう天井高などを調整し、在庫保管効率を高める工夫をしています。
*3 )デバンニングとは…海外などから運ばれてきたコンテナの貨物を取り出す作業のこと。
デバンニングについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
また、2023年2月には商品サイズに合わせた特注ネステナーを当社より提案し、センターへ導入しました。これまでは板物商品の保管時に隙間が多く発生し保管効率が下がっていたことから、通常のネステナーより幅と奥行のサイズを変更。長さを出すことで2枚並べての商品保管が可能となりました。これにより、最大保管才数は101.2%向上、約110坪数を削減できます。
さらに特注ネステナーは通常品と色を変え、一目瞭然で区別できるようにしており、保管対象商品をすぐに判別し、作業をスムーズに行う効果もあります。
物流拠点での管理精度の向上
商品の入出荷をはじめ、機能を1拠点に集約することで、調達管理・在庫管理業務の簡略化を実施。これまでは商品在庫が2拠点に分散していたことで、庫内スタッフの作業・目視でのチェックも2カ所で行う必要があり、ヒューマンエラーが起こりやすく、WMSでの管理も上手く機能していない状況でした。
在庫保管場所が1カ所となることで、限定されたエリアのみを目視確認すれば良い体制に改善され、さらにネステナー(商品棚)単位で商品の入荷月情報を貼り付けるなど、作業時に目視でのチェックがしやすいよう工夫しました。また、WMSに先入れ・先出し管理機能など新たな機能を導入し、ブラッシュアップ。商品管理精度の向上を図りました。
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家具関連荷主さまのネットワークを活用し、ローコスト・高品質なサービスを提供
私たちプラス ロジスティクスは、長年プラスグループにおいてオフィス家具のセンター運営から全国配送ネットワークの構築、組立設置などの付帯業務までを行ってきたノウハウとインフラを活かし、大型商材の物流サービスを得意としています。このため、グループ内のみならず、グループ外の他企業に対しても最適な物流ソリューションの提供が可能となっています。
オフィスコムの場合、当社が物流機能を受託する以前より組立設置サービスは行っていたものの、希望する方のみに対応する限定的なサービスで、エリアによっては設置作業料金が割高になっていました。受託後は、私たちの全国配送ネットワークを活用することで、適したコストで高品質・安定的なサービス提供が可能に。ECサイト内で組立設置サービスを大々的に案内することで、売上拡大や顧客満足度向上も期待できる物流体制を築いています。
お客さまのご意見・ご担当者様の声
調達・在庫管理の簡略化により管理工数の削減が図れるとともに、コンテナ専用バースでの対応により入荷キャパシティが増加した。
新たなカスタマーセンター拠点開設により、従前より物流センター内に設置していた品質保証部と連携しながら、製品・サービスに関する各種お問い合わせへの対応品質の向上とスピードアップが図れるようになった。
グループシナジーをいかした物流・施工サービス機能の強化が図れたことにより、今後の事業成長が見込める物流体制が構築できた。
物流オペレーションを見直すことで、コスト抑制と物流の最適化を実現
急速なビジネス拡大に併せた物流機能の構築は、スピードを最優先として進めなければならない場合があります。比較検討の時間を十分に割けず、倉庫の立地や利用料など、何かを諦め、妥協せざるを得ないケースがあるかもしれません。
波動への一時的な対応であれば良いのですが、常態化することで「物流の最適化」からは大きくかけ離れてしまいます。現在の物流オペレーションを見直し、無駄を省くことで生産性を高めると共に、トータルコストを抑えられる可能性があります。
プラス ロジスティクスでは、そのようなお悩みをもったお客さまからのご相談を数多くお受けしてきた実績がございます。さまざまなノウハウを保有しておりますので、ぜひお気軽に問い合わせください。
誤出荷や棚卸誤差を削減し、物流品質の向上を実現するプラス ロジスティクスの取り組み事例をご紹介しています。詳しくはこちらをご覧ください。