【改善事例有り】物流改善の考え方、意識すべきポイントを解説

この記事は、 10 分で読めます。

物流業界では、人の手に頼ったアナログな作業が多く行われています。しかし、作業者のスキルに頼りきりでは、業務の質がばらつきがちで、ヒューマンエラーも起こりやすくなることが懸念されます。

こうした問題を解消するためには、物流改善が必要です。物流の各工程で作業を効率化するとともに、近年開発が進んでいる物流業界向けのロボットや物流システムなどの活用がおすすめです。

この記事では、物流改善に必要な視点や改善のポイントを解説し、プラス ロジスティクスが手掛けた物流改善事例についても紹介します。

 

 

物流改善は物流工程を標準化・効率化して無駄を最小限に抑えること

物流改善とは、物流における6つの機能を標準化、効率化して無駄を最小限に抑えることを意味します。6つの機能は、次のとおりです。

 

<物流の6大機能>

  • 輸送:商品をトラックや船舶、航空機、鉄道などを使って運ぶこと
  • 保管:商品を倉庫などで適切に保管、管理すること
  • 荷役:商品をトラックなどに積み込んだり積み下ろしたりすること
  • 包装:商品を段ボールなど適切な梱包材で包装して出荷できるようにすること
  • 流通加工:商品に値札をつけたりセットにしたりして、流通に適した形に加工すること
  • 情報ネットワーク:物流の各工程をスムーズに連携させる情報システムのこと

 

物流には、この6大機能の中に、さらに多くの工程があります。それぞれの工程では自動化が進んでおらず、アナログな方法で運用している部分もまだまだ少なくありません。物流改善の余地は大きいといえるでしょう。

 

ただし、物流改善を進めていく際は、荷主企業、顧客、従業員すべてに、メリットがある方法を模索していく必要があります。企業の利益だけを追求した改革は、物流改善とはいえません。業務効率化と品質の向上、従業員の負担削減といった要素を兼ね備えた改善策を検討してください。

 

 

 

物流改善を進めるための4つの視点

物流改善を進める上で重要なのが、「ハード」「プロセス・情報」「人材管理」「輸送」という4つの視点です。それぞれの視点から、現状での課題や負荷を洗い出して改善すれば、適切な物流改善につながります。それぞれの視点における、物流改善のポイントを解説します。

 

ハード

物流改善には、ハードの視点が必要です。ハードとは、物流における倉庫の所在地や形状や広さ、レイアウト、倉庫内の設備、配送用の車両などの条件を指します。

こういったハードで見られる課題の例は、次が挙げられます。

 

<物流のハードで見られる課題の例>

  • 倉庫の立地が悪く、輸送ルートに無駄が生じている
  • 倉庫の保管面積が不足し、商品があふれている
  • 倉庫内の動線が悪く、商品が破損しやすい
  • 設備が古く、人力に頼った業務を行っている
  • 配送車両のサイズが取り扱い商材にマッチしていない

 

物流におけるハードには、さまざまな種類があり、多くの課題を抱えています。一つひとつ確認し、改善すべき点はないか洗い出していきましょう。

 

プロセス・情報

プロセス・情報とは、具体的な作業プロセスや、作業の管理方法、物流に利用する各種システムなどを指します。作業プロセスに問題があると、作業者の負担が大きくなるばかりでなく、ミスを誘発したり、リードタイムが想定以上に長くなったりすることが考えられます。トラブルにつながらないよう、従来のフローを見直して、効率化を図りましょう。

また、工程管理や在庫管理といった管理手法も、見直していく必要があります。効率の悪い手法を取っているのであれば、改善しなければいけません。

利用している管理システムや採用している管理方法を抜本的に変えるのは、多くの労力を伴います。しかし、管理が適切に行えていなかったり、現状よりも良いシステムがあったりする場合は、将来を見据えた改革が必要です。

 

人材管理

人材の採用や教育、配置も、物流改善につながります。適正な人数を採用することや、業務に必要な過不足のない教育を行い、個々のスキルを把握すること、各スタッフの能力に応じた配置を実現することで、業務効率を上げることが可能です。

そのためには、人材管理を適切に行わなければいけません。業務内容別に従業員の習熟度を一覧にして適切な配置を行うほか、従業員の希望をヒアリングしてシフトなどに反映するといった細やかな対応が求められます。

 

輸送

輸送は、物流において大きな役割を果たします。輸送ルートや輸送方法が最適なものになっているかどうか、改めて検討してみましょう。

トラックでの輸送ひとつとっても、宅配便などに代表される路線便と、トラックを貸し切るチャーター便といった違いがあります。また、近年では複数のメーカーなどが共同でひとつのトラックを利用する共同配送といった手段も取り入れられています。

既存の方法にとらわれず、自社にとって最適な輸送法を模索することが大切です。

 

 

物流改善の3つの要点

物流改善では、前述した4つのそれぞれの視点それぞれにおいて、生産性の向上や適正化を目指していくことが重要です。物流改善を検討する際に知っておきたい要点は、「3Mを取り除く」「作業効率の向上」「作業工程の管理」の3点です。具体的に、各視点で何をすべきなのかを見ていきましょう。

 

■物流改善の3つの要点

物流改善の3つの要点

 

3Mをなくす

3Mとは、「ムリ」「ムダ」「ムラ」のことです。物流工程に、過剰な負担や、業務の偏りなどの3Mが生じる原因を突き止めて改善していかなければいけません。

3Mは、どのような物流工程の業務にも生じる可能性があります。3Mがあれば排除し、改めて適切な人員配置やマニュアルの整備などを行えば、物流改善に効果的です。

 

例えば、作業場が散らかっていて必要な道具を見つけるのに時間がかかる、といった細かいポイントも改善の対象になります。倉庫内は整理整頓をするとともに、その日初めて現場に入った人でも、どこに何があるのかわかるようにしておけば、誰でもスムーズに作業に入ることが可能です。業務を標準化し、作業者が迷ったり悩んだりする可能性をなくせば、最も短い時間で正確性の高い業務を行えるようになります。

 

作業効率を向上させる

物流改善のためには、物流の各工程で作業効率を向上させることが必要です。例えば、マテハンやシステムなどを導入することで、作業効率の大幅な向上が期待できます。

自動製函機を導入すれば、これまで人の手で行っていた商品の梱包の自動化が可能です。梱包を行っていた作業者は、別の業務にあたることでき、担当者によって梱包方法や品質が変わるといった問題も起こりません。

また、在庫管理方法をアナログな紙の台帳から在庫管理システムに切り替えれば、手書きで表を作成する必要がなくなります。リアルタイムでの情報共有が可能になり、数え間違いや書き間違いも防ぎやすくなるでしょう。

 

物流に役立つマテハンやシステムは、数多く存在しています。課題に応じて導入を検討してください。

 

作業工程を管理する

作業工程を細かく記録、管理することで、業務の無駄や課題をすみやかに拾い上げ、改善できるようになります。

 

作業工程が不透明だと、業務の標準化を遂行することができません。また、次の工程に移る際の情報共有にも困難が生じます。とはいえ、工程を人力で記録していくのは手間がかかりますし、記入ミスの可能性もあります。作業履歴のリアルタイムデータを簡単に取得できる、自動システムの活用がおすすめです。

 

 

プラス ロジスティクスによる物流改善の成功事例

物流専門企業であるプラス ロジスティクスでは、さまざまな荷主企業の物流改善に携わっています。その中から、物流改善に成功した2つの事例を紹介しましょう。

 

ピッキングの自動化で人為的ミスがゼロに

切削工具・産業機器・バルブ・住設空調機器などの専門商社、ユアサ商事様の物流センターでは、約5万SKUもの商品を取り扱うため、物流工程を自動化できるところはないか、物流業務を受託しているプラス ロジスティクスでも模索していました。そこで、ユアサ商事様とロボットメーカーのPhoxter様、プラス ロジスティクスの3社で共同開発したのが、ピッキング用自動搬送システム「ツインピック」です。ユアサ商事様の物流センターで、すでに運用を開始しています。

 

プラス ロジスティクスが開発した2種類の自動搬送ロボットを組み合わせたシステム『ツインピック』

ユアサ商事 関東物流センターに導入中の自動搬送システム『ツインピック』高層棚コンテナ自動搬送ロボット

 

プラス ロジスティクスが開発した2種類の自動搬送ロボットを組み合わせたシステム『ツインピック』

ユアサ商事 関東物流センターに導入中の自動搬送システム『ツインピック』低層棚自動搬送ロボット

 

高層棚コンテナ自動搬送ロボットと低層棚自動搬送ロボットという2種類のロボットを同時に制御することで、高層棚に保管された荷物を自動でピッキングし、作業者のもとまで、自動で運搬します。ピッキングのために作業者が倉庫内を歩き回る必要がなくなり、人的ミスの防止にもつながっています。倉庫の天井高を活かした保管ができることや、先入れ先出しを徹底できることも大きなメリットです。

 

ユアサ商事様の物流センターでは見学会を開催しており、実際にロボットが稼働している様子もご覧いただけます。

【次回開催2025年1月20日(月)】国内初事例のピッキングシステムを公開!自動化倉庫見学会

 

 

拠点集約でオペレーション費用を抑制

オフィス家具の通販を行っているオフィスコム様では、従来2拠点で運営していた倉庫を大規模なセンターに集約することでオペレーション費用の抑制に成功しています。

物流センターが2拠点に分散していると、賃借料がかさむほか、在庫管理が困難になったり、管理業務の不備が発生しやすくなったりするなど、多くの問題を抱えていました。そこで、プラス ロジスティクスが既存の配送ネットワークを活用できる新たな拠点を提案。大型商品や長尺商品といった取り扱い商品の形状に対応できる新拠点を作り上げました。

 

新センターでは特注ネステナーを活用して保管効率を改善しているほか、在庫管理しやすいシステムの導入、既存ネットワークを活用した配送サービスの提供などの物流改善を実施し、大幅にオペレーション費用の抑制に成功しています。

 

拠点集約による物流改善についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

拠点集約移転による管理精度向上とオペレーション費用抑制 │ オフィスコム株式会社様

 

 

物流改善にお悩みの物流担当者は、プラス ロジスティクスにご相談ください

物流改善は、さまざまな視点から行っていかなければいけません。抜本的な改善を行うためには、コストと労力も必要です。専門知識やノウハウがない状態で行おうとすると、かえって現場の負担になってしまうこともあるかもしれません。無駄なく最適な物流改善を実現するためには、物流専門業者への相談がおすすめです。

 

プラス ロジスティクスでは、多くの実績をもとにそれぞれのお客さまに適した物流改善をご提案しています。物流改善を検討している荷主企業さまは、ぜひお気軽にご相談ください。

 

プラス ロジスティクスへのお問い合わせはこちらから

RELATED