【物流最適化のポイント】業界課題と解決策、最適化事例を紹介

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物流業界は、2024年問題や労働人口の減少、小口配送の増加など、多くの問題を抱えています。こうした問題を解消し、事業を継続していくためには、物流最適化が必須です。従来の物流の在り方を根本から見直して最適化を進めていくことは、物流に関わる企業の重要課題といえるでしょう。

この記事では、物流最適化のポイントのほか、物流最適化が求められる背景や、具体的な方法について解説します。また、プラス ロジスティクスが手掛けた物流最適化の事例も紹介します。

 

 

物流最適化とは物流プロセスを改善し、サプライチェーン全体のパフォーマンスを上げること

物流最適化とは、物流の各工程における最適なプロセスを選択していくことで、サプライチェーン全体のパフォーマンスを上げることです。

 

物流は保管や、梱包、配送といったさまざまな工程で構成されています。これらの工程一つひとつを見直し、最適化していくことで、効率が良く、無駄のない物流を実現できるでしょう。同時に、各工程の連携や、事業者同士の連携も大切です。物流に関わるすべての企業が物流最適化を目指し、サプライチェーン全体でプロセスを変えていく必要があります。

 

サプライチェーンについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

サプライチェーンとは?物流工程をマネジメントするメリットを簡単に解説

 

 

物流業界の課題とは

物流最適化が求められている背景には、物流業界における深刻なリソース不足があります。物流最適化によって物流にかかる労働コストを下げられれば、リソース不足の解消につながるでしょう。

ここからは、物流業界においてリソースが不足する原因となっている3つのポイントを紹介します。

 

働き手の減少

物流業界が抱える課題のひとつは、働き手の減少です。物流業界では以前からドライバー不足が深刻な問題となっており、国土交通省によると、ドライバーが不足していると感じている企業の割合は、10年前の2014年時点で53%と半数以上でした。2021年になっても54%で、改善されていません。

ドライバーの平均年齢も右肩上がりとなっており、高齢化により今後ますます人手不足が深刻化すると考えられます。

ドライバー不足の理由として、少子高齢化が進む中で、15歳から64歳までの生産年齢人口が年々減少していることが考えられます。この傾向は今後も継続する見込みで、2023年時点では7,395万人いる生産年齢人口は、2050年には5,540万人まで減少するとされています。

 

働ける全体の人口が減少していく中で、物流業界だけが従来と変わらない労働力を確保し続けるのは非常に困難です。労働者の減少に対応できる仕組みを構築していく必要があります。

※出典:内閣府「令和6年版高齢社会白書

参考:国土交通省「物流を取り巻く現状と課題

 

EC物流の拡大による小口配送の増加

近年のEC市場の拡大に伴い、個人向けの小口配送が増加しています。宅配便の取扱個数は、2010年に32.2億個であったのに対し、2022年には50.06億個と急激な増加を見せています。多頻度・小ロット化が進む中で、出荷や配送といった業務を滞りなく進めるためには、物流の効率化が急務です。

 

さらに、物流業界全体として配達日時が指定される比率が上昇しているという傾向も見られます。特に顕著なのは個人向け配送で、2015年には29.2%だった配達指定なしの荷物が、2021年には20.4%まで減少しています。反対に、最も細かい時間単位での指定は、2015年が16.3%であったのに対し、2021年は32.2%です。

※参考:国土交通省「物流を取り巻く現状と課題

 

こうした細かい要望に対応していくためにも、物流最適化が必要です。ただし、要望に応えるだけが最適化ではありません。顧客が本当に求めていることを踏まえて、最も適したサービスを提案、提供していくことが大切です。

 

物流の2024年問題による規制

働き方改革の一環として定められた時間外労働の上限規制ですが、トラックなどのドライバーは適用猶予の対象となっていました。しかし、猶予期間が終了し、2024年4月から年間960時間の上限が適用されています。

従来は時間外労働の上限がなかったため、ドライバーが長時間稼働することは可能でした。しかし、現在は上限を超えた時間外労働はできません。ドライバー不足に拍車がかかる可能性があり、物流の停滞や運送業者の売上減少、ドライバーの収入減少といった問題の発生が今後予想されています。

 

一方で、ドライバーの労働環境の改善には寄与するでしょう。一概に規制を疎むのではなく、社会全体でドライバーの労働環境改善と適切な賃金や運賃の設定、無理のない物流の実現などに取り組んでいく必要があると考えられます。

 

2024年問題についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

物流業界の課題とは?すぐに導入できる解決策と業界の流れを解説

 

物流最適化のポイント

物流最適化は、物流戦略をもとに多面的に行っていく必要があります。複数の工程を最適化するとともに全体最適を目指すことで、物流全体を改善していきましょう。

物流最適化のために検討すべきポイントを、下記で紹介します。

 

■物流最適化のポイント

物流最適化のポイント

 

物流拠点の最適化

物流拠点をどこに構えるかは、物流全体の在り方を左右する大きなポイントです。市場へのアクセスの良さや、輸送コスト、該当の立地の特性などを踏まえて最適化しましょう。

例えば、地代の安い地域に物流拠点を構えるという考え方もあります。しかし、住人の少ない立地では倉庫内スタッフの確保が困難になるおそれがあります。また、顧客へのアクセスが悪いと、配送に時間とコストがかかることも懸念点です。

また、物流拠点には、主要エリアに大規模な拠点を設置するか、小規模な拠点を複数展開し、地域密着型として運用するか、という選択肢もあります。

 

どこに、どのような倉庫を持つかは、通り扱い商材や顧客のニーズ、荷主企業の方針などによって変わります。需要の予測や配送時間の計算、コスト分析などを行った上で検討しなければいけません。

 

 

在庫管理の最適化

在庫の適切な管理をすることも、物流最適化の重要なポイントです。在庫管理を最適化すれば、以下のような多くのメリットをもたらします。

<在庫管理を最適化するメリット>

  • 在庫切れや在庫の紛失による販売機会の損失の防止
  • 適正在庫をキープすることによる保管コストを削減
  • 余剰在庫の抑制
  • 棚卸業務の効率化
  • ピッキングの効率化

 

在庫管理が適切に行われていないと、実際の在庫数とデータ上の在庫数にずれが生じ、過受注の発生が心配です。また、管理が不十分で先入れ先出しが徹底されていないと、在庫品の劣化につながります。

適切に商品を管理することで、無駄のない仕入れが可能になります。そのためには、過去の販売数の推移や季節による需要の変化といった、自社の販売データを分析するとともに、市場動向の調査が必要です。

 

輸送ルートの最適化

最適な輸送ルートの計画と管理は、コスト削減に直結します。ただし、輸送ルートは一概に距離が短ければ良いというものではありません。混雑状況や道の走りやすさ、信号の数なども到着時刻やドライバーの負担を左右します。

さらに、リアルタイムの交通情報や天候などについても考慮が必要です。一律の配送ルートをとるのではなく、その時々で最適なルートを選択していかなければいけません。

併せて、車両の最大積載能力を活用することや、環境への配慮も大切です。無駄なく配送できるルートを検討してください。

 

配送手段の最適化

輸送ルートと合わせて、配送手段の最適化も必須です。トラック、船、鉄道、航空便といったさまざまな手段のなかから、最適なものを選択してください。

最適な配送手段は、顧客のニーズや目的、配送する商品、距離など、複数の要素によって決まります。一概に「早いほど良い」「コストが低いほど良い」といえるわけではありません。

状況に応じた最適なリードタイムを割り出せれば、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

 

物流プロセスの自動化と効率化

ピッキング、梱包、出荷といった倉庫内で生じる業務は、ロボットやマテハンなどで自動化ができ、物流最適化につながります。

これまで人の手で行っていた作業を自動化することで、作業の正確性や処理速度が向上し、労働コストも削減できるなど、多くのメリットを得られます。自動化によって人的リソースに余裕ができれば、売上への影響が大きいコア業務により多くの人員を割くことも可能です。

商品特性や倉庫の状況、顧客のニーズ、現状の課題などに合わせて、適切な自動化を検討してください。

 

情報システムの最適化

情報システムを最適化し、高度なデータ分析や情報連携が可能になれば、物流品質全体の向上が見込めます。

需要予測や在庫管理、配送ルートの選定、顧客の行動分析など、導入するシステムに応じて、さまざまな情報を得ることが可能です。関連するデータを扱うシステム同士を連携させれば、各工程をスムーズにつなぎ、複雑な処理を瞬時に行うことができるでしょう。

スピーディーに正しい情報を手に入れて分析を行うことは、同業他社との差別化や競争力の強化につながります。ビジネスの成長のためには、正確性の高い情報分析が必須です。

 

 

プラス ロジスティクスが取り組む物流最適化の事例

物流専門企業であるプラス ロジスティクスでは、荷主様企業の物流工程全体を見通し、物流最適化に取り組んでいます。ここからは、実際に物流最適化を実現した3つの事例をご紹介しましょう。なお、事例には物流工程の一部のみを最適化したケースも含まれます。一つひとつの工程を見直したことで、物流全体の最適化につながった例として参考にしてください。

 

大型家具に特化した物流戦略でオペレーションを大幅改善

荷主企業であるベイクルーズ様は、主にアパレル製品を取り扱ってこられていたため、新しい商材である大型家具に関する商品管理や配送などの仕組みが構築されていないことが大きな課題となっていました。実在庫と理論在庫の不一致や、パーツの一部が紛失することによる損失管理状況が商品へのダメージに影響する、といったトラブルが一例です。

そこで、物流工程を一括して請け負ったプラス ロジスティクスでは、ベイクルーズ様の物流戦略に合った新しい拠点エリアと倉庫設計についてご提案を実施。併せて、配送網や物流システムなどに関する改善案についても提示した結果、商品の保管から配送までを効率良く進められるようになりました。

 

ベイクルーズ様の事例についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

大型家具に適したオペレーションの導入で物流品質を改善|株式会社ベイクルーズ様

 

 

自動倉庫を導入し最新の物流センターで生産性が向上

オフィス・学校向け通販事業を行っているジョインテックスカンパニー様の物流センターリニューアルにあたっては、庫内物流を最適化するために自動倉庫の導入を提案し、円滑な切り替えと稼働を主導しました。

出荷作業の効率化と、保管スペースの確保というふたつの課題を解決するために、保管効率を大幅に上げるオートストアや、倉庫内業務の省人化につながる多くのマテハン機器を導入。さらに、WMS(倉庫管理システム)とWCS(倉庫制御システム)を活用し、物流管理の最適化を実現しました。

 

ジョインテックスカンパニー様の事例についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

倉庫の自動化により出荷能力向上と省人化を実現 │ プラス株式会社ジョインテックスカンパニー様

 

 

配送トラッキングの新システムを開発し、仕分け・検品を最適化

プラス ロジスティクスグループのグループ会社で、配送サービスを展開しているプラス カーゴサービスでは、仕分け、検品業務の最適化のために「配送トラッキング検品システム」を開発しました。

配送トラッキング検品システムは、荷物に貼付したバーコードラベルを携帯端末で読み取って検品を行うシステムです。誤仕分けがあった場合はわかりやすいエラー画面が表示されて次の作業に進めなくなるため、誤配送を大幅に削減できます。同時に、検品にかかる作業も従来の半分程度に削減されました。

 

配送トラッキングシステムの事例についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

配送トラッキングの新システムで業務改善│プラス カーゴサービス

 

 

物流最適化なら、物流専門会社のプラス ロジスティクスにお任せください

物流最適化は、戦略的に行うことが重要です。取り扱い商材や物流課題、最適な物流の在り方は、それぞれの企業によって異なります。現状の課題を洗い出し、状況に応じた最適な物流計画を立てましょう。

自社だけでの改善が難しい場合は、物流専門企業の活用がおすすめです。プラス ロジスティクスでは、物流に関する専門知識とノウハウをもとに、それぞれのお客様のご事情に合わせた改革案を提案、実現いたします。物流最適化をお考えの荷主企業様は、お気軽にお問い合わせください。

 

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