レイバーコントロールとは?物流の業務改善に役立つ基礎を解説

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レイバーコントロールは、人材運用手法のひとつです。仕事量に応じた適切な人材配置を行うことを指し、人的資源を効率的に運用することができます。

物流業務や倉庫業務を行う際は、人材を適切に配置することが大切です。レイバーコントロールでスタッフのスケジュール調整を行い、必要な時間に必要な人員を無駄なく投入することで、生産性の向上とコスト削減につながるでしょう。

この記事では、物流現場におけるレイバーコントロールの意味や実践方法のほか、メリット・デメリットなどについて解説します。

 

 

レイバーコントロールとは、仕事量に応じた人員配置を行う運用手法のこと

レイバーコントロールとは、人材配置を見直すことによる人員資源の効率的な運用を目指す手法です。英語では「Labor control」と書き、日本語に訳すと「労働を管理する」という意味になります。それぞれの業務に必要な人員を割り出し、その計画に沿って人材を配置することで人件費を最低限に抑えられ、生産性も最適化されます。

 

例えば、通常10人で1日8時間、計5日間で行っていた業務について考えてみましょう。まず、本当に10人の人員が適切なのか、工程ごとに必要な工数を数値化していきます。スタッフ1人が1時間で行える作業量を「1」としたとき、8時間あたりの作業量は「8」です。

仮に、当該の業務の作業にかかる全工数が360だとすると、5日で当該の業務を行うための人員は360÷5÷8=9で、実際は9人を配置すれば良いということがわかります。

 

このように、業務にかかる工数を細分化し、必要な時間に必要な人員を確保していくことで効率化を目指すのが、レイバーコントロールの考え方です。

 

物流業界におけるレイバーコントロール

物流業界は物量や時期によって業務量の変動が激しいため、レイバーコントロールに適しているといえます。

物流倉庫や物流センターでは、曜日や時間帯、時期によって業務量が大きく変動します。「毎日同じ人数のスタッフを配置しておけば良い」というわけにはいきません。

 

レイバーコントロールでは、事前に業務量を分析した上で必要な人員リソースを投入していくため、推測される業務量に応じた無駄のない人員配置が可能です。繁忙期に派遣スタッフやアルバイトを利用する際も、必要な人員をあらかじめ決定してからスケジュール調整を行うため、コスト削減につながります。

 

 

レイバーコントロールを実施するために必要なこと

レイバーコントロールを実施する際は、必要な売上目標を実現するための仕事量を正確に把握しなければいけません。そのため、現状の業務量と売上を数値化し、いつ、どのくらいの業務が、どの工程で発生しているのかを調べます。

 

まずは、仕事の工程、業務範囲、仕事量、時間についての調査を行いましょう。このとき、「現場で当たり前に行われているが、意識されていない仕事」などが抜けてしまわないように注意してください。

業務量をもとに細かく人員を配置するレイバーコントロールでは、すべての業務を洗い出して、必要な時間を数値化しなければいけません。

 

その上で、それぞれの業務に必要な人員を配置していきます。レイバーコントロールでは、従業員側の出勤希望ではなく、業務量を重視して稼働計画を作成することになります。従業員の不満が生じないよう、希望と稼働計画を照らし合わせて調整することが必要です。

 

なお、業務量の算出を行う際は、実情を十分に調べなければいけません。非効率的な業務による無駄を見落としたり、現場から余裕を多く取った時間を申告されたりすると、人件費がかさんでしまう可能性があります。

売上や人員数などとのバランスを見ながら、現実的な数値になっているかどうかを確認してください。

 

 

レイバーコントロールを導入するメリット

自社の実情に合わせ、レイバーコントロールを導入することで課題解決につながるかどうか、検討してみましょう。レイバーコントロールを行うことで得られるメリットは下記のとおりです。

 

生産性の向上

過不足のない人員配置によって、生産性の向上を見込めます。例えば、これまで10人で担当していた業務が実際には9.5人分の作業であったということがわかれば、残りの0.5人分の工数を別の業務にあてることができます。

反対に、実際は11人分の仕事を無理に10人でこなしている場合は、スタッフの疲労や残業による生産性の低下、ミスが起こりやすい環境になっているといえるかもしれません。

 

レイバーコントロールを行うために業務内容と作業時間を細かく確認することで、これまで見逃されていた無駄が見えてくるかもしれません。

 

人件費の削減

レイバーコントロールによって、適切な人員数で作業を回すことができれば、余分な人件費の削減につながります。

特に、繁忙期に臨時でスタッフを雇用している場合、いつ、何人のスタッフが必要なのかを明確にすることで、無駄のない採用が可能になります。

 

1人あたりの生産性の把握

レイバーコントロールを適切に行うために必要なのは、1人あたりの生産性を数値として把握することです。アルバイトや社員などが行える平均的な業務量を数値化することになりますから、スタッフそれぞれの評価の基準にできます。

 

また、レイバーコントロールでは、あらかじめ業務に必要な人員を計算して配置しますが、予定以上に業務が進んだ場合、配置されていた従業員が平均を超える働きをしているということです。高い生産性を持つ従業員が可視化されるため、評価につなげやすくなるでしょう。

適切な評価を行うことで従業員の意欲が高まり、さらに生産性が上がる可能性もあります。

 

 

レイバーコントロールを導入するデメリット

レイバーコントロールには、デメリットもあります。レイバーコントロールを行うにあたって、気をつけるべきポイントは下記のとおりです。

 

イレギュラーな対応がしづらい

必要な人員を業務ごとに割り出して過不足のない配置を行うレイバーコントロールには、イレギュラーな業務が発生したときに対応しづらいという難点があります。

 

人員配置に無駄をなくせるのがレイバーコントロールの魅力ですが、遊びがない分、急激な受注の増加やスタッフの急な欠勤などへの対応が困難です。「欠員や業務量の増加を稼働できるスタッフで吸収しきれない」「シフトの変更ができない」といった問題が起こる可能性があります。

かといって、あらかじめ人員に余裕を持たせるようにした場合、配置の適正化というレイバーコントロールの最大のメリットを得られなくなってしまいます。

 

人員の質による成果のばらつきが生じがち

レイバーコントロールでは、従業員1人あたりの能力をすべて平均化して考えるのが基本です。仕事のできる人もできない人も、人材配置上は同じ「1人」としてカウントするため、人員の質によって作業スピードや質にばらつきが発生することが考えられます。

 

作業スピードや質のばらつきを防ぐためには、従業員一人ひとりの能力値や得意不得意を把握し、それに応じた人員配置を行うといった方法が考えられるでしょう。しかし、このようなやり方は、業務量を単純に数値化して人数だけをもとに配置を作る場合に比べて、非常に手間がかかります。

また、アルバイトや正社員、業務経験年数などをもとに従業員の作業量を調整することもできますが、この方法では経験は反映できても、個人の能力を反映させることはできないことも難点です。

 

社員教育のための時間がとれない

レイバーコントロールでは、業務時間中、すべての配置人員が業務を行うものとして配置を行います。手の空く時間帯が発生しないことから、社員教育やコミュニケーションなどの時間を取ることができません。幅広い業務を覚えたり、ほかの部署のことを知ったりする機会が失われる可能性があります。

教育を行いたい場合は、別途そのための時間を算出して人員配置を行いましょう。

 

 

レイバーコントロールの運用は物流専門企業におまかせを!

レイバーコントロールは、うまく運用できればコスト削減と生産性の向上につながる魅力的な手法です。しかし、前提となる業務量の調査が困難であったり、調整に時間がかかったりします。また、突発的な事象に対応できないといった難点もあるでしょう。

 

こうした問題を解決し、効果的にレイバーコントロールを取り入れようと考えるのであれば、業界の特性を踏まえた施策をとれる専門業者の活用がおすすめです。

物流部門や倉庫運用におけるレイバーコントロールなら、物流専門企業のプラス ロジスティクスグループまでお気軽にご相談ください。お客様のそれぞれの事情に合わせて、人員配置を含む物流最適化のご提案を行っています。

 

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