デバンニングって何?物流担当者が知っておきたい基礎知識を解説

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物流業界で耳にすることの多い「デバンニング」とは、海外などから運ばれてきたコンテナの貨物を取り出す作業のことです。スムーズなデバンニングは、物流工程の最適化につながります。

無駄をなくし、スピーディーでトラブルの少ない物流を実現するために、デバンニングの手順や課題のほか、最適化のための方法などについて詳しく解説します。

 

デバンニングとはコンテナから貨物を取り出す作業のこと

デバンニング(devanning)とは、船などに積まれてきたコンテナから貨物を取り出す作業のことです。反対に、コンテナに貨物を積み込むことはバンニング(vanning)といいます。

 

一般的に、海外から届いた商品は保税蔵置場などでデバンニング後、税関への輸入申告や審査、関税等の納付などを経て輸入許可を受けます。なお、保税蔵置場とは、海外からの貨物を一時的に保管できる保税地域の一種で、一般的に空港や港の近くで指定された倉庫を指します。

 

島国である日本では、輸出入の際にバンニングやデバンニングが欠かせません。また、海外に生産拠点を持ち、国内で製品を販売する企業にとっても、デバンニングは必ず生じる業務です。近年の物流において、デバンニングは重要な作業工程のひとつだといえるでしょう。

 

デバンニングの手順

船などで海外から運ばれてきたコンテナは、目的地に到着後、デバンニングを行います。巨大なコンテナから貨物を下ろすデバンニングは、場当たり的に行えるものではありません。フォークリフトなどの機械を利用しながら、複数人で行うのが一般的です。

ただし、人数が多すぎるとかえって非効率になることも。貨物の量や作業スペースに応じた人員配置をすることが求められます。デバンニングの手順は下記のとおりです。

 

  1. コンテナが到着する

船や航空機などが到着し、コンテナが降ろされます。

 

  1. 必要であればスロープやドックレベラーを使用する

コンテナ内部に直接フォークリフトで乗り入れる場合は、スロープを設置します。コンテナと作業する床面に高低差がある場合は、ドックレベラーという装置があると便利です。

 

  1. コンテナのシールによる封を開け、貨物の状態を確認

 コンテナは、識別番号が書かれたシールで封印されています。入庫したコンテナに間違いがないか確認した上で封を開け、内容物の状態に問題がないかどうかチェックします。

 

  1. 荷下ろし(手下ろしまたはフォークリフトを使用)

 積み込まれた貨物を運び出します。人の手で運ぶこともあれば、フォークリフトを使用して運ぶこともあります。手下ろしの場合、パレットローラーなどを使うと奥に収められた貨物を効率良く運べるでしょう。

 

  1. 完了、コンテナを清掃

 荷下ろしの完了後、貨物のなくなったコンテナの中を簡単に掃除します。最後に、コンテナ内が空になっていることを確認してコンテナを閉め、完了です。

 

海外から商品を輸入した際のデバンニングは、コンテナ到着後2時間以内に終わらせるのが一般的なルールです。これは、コンテナ運転手の待機時間制限のために設けられているもの。2時間を超えると別料金が発生するため、必要な人員を確保し、迅速に作業を進める必要があります。

 

 

 

デバンニングで注意したいこと

デバンニングでは、重量のある貨物を扱うことがほとんどです。不意な事故が起こる可能性もあるため、十分注意しなければいけません。続いては、デバンニング作業の際に意識したいことを見ていきましょう。

 

事故やケガを未然に防ぐ

コンテナ内は天井までぎっしりと重い貨物が積み上げられています。また、多くの倉庫内やコンテナ内の床は滑りやすいのも特徴です。

貨物の落下や雪崩、コンテナ内での転倒などが起こる可能性もありますので、貨物の破損はもとより、作業員がケガをしないよう、安全な作業が求められます。想定される事故を周知するとともに、作業環境の整備を行ってください。

デバンニング中に起こりうる事故と対策は、下記のとおりです。

 

<デバンニング中の事故の例>

  • コンテナ内に積まれた貨物が落下してきて作業員にぶつかる
  • フォークリフトと作業員が接触する
  • コンテナの扉を開ける際に貨物が崩れ、作業員が下敷きになる
  • コンテナ内外で床が滑り、作業員が転倒する
  • 夏場に高温となったコンテナ内で熱中症になる

 

<デバンニング中の事故を防ぐ対策>

  • 複数人で安全を確認しながら進める
  • ヘルメットや安全靴などの着用を義務付ける
  • フォークリフトの死角に留意する
  • 物流倉庫内、コンテナ内では走らないようにする
  • 作業員に水分補給を促す
  • 夏場はコンテナ内部を冷やす

 

商品の破損を防止する

貨物の落下は、商品が破損する原因にもなります。商品に損害を与えた場合、損害賠償請求をされる可能性もあるので、十分注意しなければいけません。人の手で作業を行う以上、リスクを完全になくすことは不可能ですが、できる限り慎重に作業を行うよう心掛けましょう。

万が一商品の破損が起こってしまったときは、被害状況を確認した上ですみやかに関係者に連絡をとってください。なお、デバンニング中の商品破損には、貨物輸送リスクに備えるための貨物・輸送保険を利用できる場合もあります。

 

 

デバンニングの今後の課題

海外と貨物のやりとりをするにあたって、デバンニングは重要な物流工程です。その一方でデバンニングには、人材不足や作業時間超過、過酷な作業環境など、多くの課題もあります。デバンニングが抱える課題について、詳しく見ていきましょう。

 

労働環境が過酷で人員が不足

コンテナから重い貨物を運ばなければならないデバンニングは、非常に過酷な作業です。そのため、なかなか作業員が定着せず、常に人手不足の状態にあります。

作業員の負担をできるだけ軽減するために、作業工程の検討や、荷下ろし作業ができるロボットの導入といった施策を通し、労働環境の改善を図る必要に迫られています。

 

作業時間が超過し、遅延金が発生する

デバンニングは、前述のとおりコンテナ到着後2時間で終了させるのが一般的なルールです。しかし、状況によってはどうしても2時間以上かかり、遅延金の支払いが必要になることもあります。遅延金の発生を防ぐためには、作業時間短縮に向けた施策が必要です。

具体的には必要人員数の確保、作業の効率化、自動化につながる機器類の導入などが効果的だと考えられます。

 

商品やコンテナの破損リスク

デバンニングを急いで進めようとすると、商品やコンテナの破損につながるような事故が起こるリスクが高まります。商品の破損による損害賠償や、コンテナの破損による修理費用が発生すると、支出が大きくなるおそれも。作業効率だけでなく、安全性や正確性も意識する必要があるでしょう。

荷下ろしの自動化による人的ミスの削減といった施策が効果的です。

 

 

デバンニングの最適化のためにできることとは?

デバンニングのトラブルを防ぎ、できる限りスピーディーに作業を行うためには、どのような対策が考えられるでしょうか。ここでは、デバンニングの最適化のために効果的な3つの施策を紹介します。

 

最新のロボットを導入する

作業員の代わりに自動でデバンニングを行える最新ロボットを導入すれば、人手不足の解消につながります。最新ロボットは自動でコンテナ内に入って荷下ろしを行えるため、転倒や貨物の落下による作業員の負傷、商品やコンテナの破損といった事故が起こるリスクを減らすことが可能です。

 

パレット納品を推進する

パレット納品とは、ひとつの商品をひとつのパレットに載せ、パレットごと納品することを指します。パレットは大きさが一定の四角形なので運びやすく、扱いやすくなるのがメリットです。

パレット納品にすることで、まとまった貨物を一気に運ぶことが可能になり、荷崩れを防ぎ、短時間で効率良く、事故のないデバンニングが実現します。また、積載する際にもコンテナに無駄な空間が生じないので、輸送費削減にもつながります。

ただしパレット納品は、少量の納品には不向きです。また、納品先にフォークリストがあること、大型貨物の荷ほどきが可能な大型倉庫であることも必須ですが、パレット納品を推進することでデバンニングは大幅に最適化されるでしょう。

 

アウトソーシングでプロによるマネジメントを行う

デバンニングは、物流効率にかかわる専門性の高い業務です。専門業者にアウトソーシングすれば、自社で対応するよりも効率良く、確実な作業ができます。

また、アウトソーシングによって、専門業者が保有している最新ロボットなどを活用することも可能になります。

 

 

デバンニングをはじめとする物流課題の解決は、PLCグループにご相談を

輸出入や仕入れの際に欠かせないデバンニングですが、自社ですべてに対応するのは難しいもの。人員不足や事故対策、万一の際の保障など、対応しなければならない課題も多く、負荷が大きい物流工程といえます。

デバンニングに課題を感じている方は、物流全体のマネジメントができるプラス ロジスティクスグループにご相談ください。デバンニングを含む、物流工程全体の最適化につながるご提案をさせていただきます。

 

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