共同配送とは?メリット・デメリットや課題、導入に適した商材を紹介

共同配送

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トラックによる配送は、物流においてなくてはならない重要な要素です。しかし、自社の荷物を運ぶためだけに専用のトラックや運転手、作業員を稼働させていると、「小口の輸送に対応しづらい」「ロスが出やすい」といった問題が起こります。

効率良く、コストダウンしながらスピーディーに配送を行い、自社だけでなく物流全体を最適化するには、共同配送が役立ちます。共同配送は、ドライバーの人手不足や環境問題などの解決策として近年注目を集めている輸送方法です。ここでは、共同配送の具体的なメリットや課題について見ていきましょう。

 

共同配送とは複数の荷主企業が共同で配送を行う仕組みのこと

共同配送とは、行先が同じ(または近い)複数の荷主企業の荷物を同じトラックに積み込み、共同で配送を行う仕組みです。

同じ小売店に商品を納入している3メーカーを例にして、共同配送の仕組みを見てみましょう。

 

例)

飲料メーカーA、菓子メーカーB、日用品メーカーCの3社の工場から、同じ小売店に商品を納入している

A、B、Cの3社はまったく別の企業です。従来の配送方法であれば、A、B、Cそれぞれの企業が別々のトラックに自社製品を積み込み、小売店に納品を行っています。一方、共同配送では、A、B、Cの3社が協力し合って1台のトラックに3社の製品を積み込み、同じ小売店に納品します。

従来のやり方では、納品物が少量の場合トラックに空きが出てしまい、無駄が発生する可能性があります。共同配送を行うことで、無駄なく効率の良い物流を実現可能です。

共同配送は国土交通省も人手不足や地球環境への配慮を目的として推奨しており、多くの成功事例を公表しています。今後、各種支援制度の整備も行われていく見込みです。

 

共同配送の仕組み

 

 

共同配送のメリット

配送の効率化やコストの削減といった共同配送の強みは、経営課題の改善にも役立ちます。共同配送を導入することで得られる3つのメリットをご紹介します。

 

配送の効率化

共同配送を利用するメーカーや企業にとって、最も大きなメリットが配送の効率化です。共同配送では、1台のトラックに複数の企業の荷物をまとめて積み込みますから、その分積載率が上がり、効率良く配送を行えます。

同じ方面へ行くトラック3台がそれぞれ60%の積載率だった場合、残りの40%×3台分は無駄になってしまうことに。共同配送を行って、3台必要だったトラックを2台にすることができれば、その分コストを抑えられ、効率良く商品を運べます。

荷受け側にとっても、ばらばらに品物が届くよりも、まとめて届いた方が受け取りの手間が省けるのも利点です。

トラックドライバー不足やドライバーの長時間労働が問題視されている昨今、配送の効率化はこの問題の解決が期待できます。例えば、大型家具や生鮮品など、特定の商品に特化したドライバーに共同配送を依頼することで、安心して商品を預けることもできます。

 

コストの削減

共同配送によって必要なトラックの台数を削減できれば、その分物流コストが下がります。燃料費の高騰が著しい今、物流コストは企業にとって重要な課題です。トラックの台数が減ればドライバーの人数もその分減りますから、人件費の削減にもつながります。

また、自社トラックではなく配送業者を利用している場合も、共同配送によって委託料を直接的に削減できます。

こうしたコスト削減は、商品の価格にも影響を及ぼすものなので、エンドユーザーにとってもメリットがあります。直接エンドユーザーのもとに荷物を運ぶ場合は、配送料の圧縮という強みにもなるでしょう。ECサイトなどを利用するユーザーは送料の違いに敏感で、価格と送料の合計を見て購入を検討します。配送料の圧縮は、競争力を高めるために重要なポイントといえるのです。

 

CO2排出量の削減

共同配送を行えば、輸送に必要なトラックの台数を削減できます。そうした事例が増加すれば、トラックが排出する全体のCO2の量も抑えることが可能になります。

共同配送による物流効率化は、環境負荷の引き下げという社会的メリットにもつながるのです。

 

拠点集約による商品調達業務の簡略化や配送コストの抑制 │ 株式会社コスパクリエーション様

 

 

共同配送のデメリット

共同配送はメリットの大きい仕組みですが、デメリットもあります。共同配送を行う上で留意しておくべき点を、3つご紹介します。

 

共通のシステムが必要

荷物の配送を行う際は、現在の配送状況を把握するためのシステムが必要です。今、自社の荷物がどこにあるのかをリアルタイムで知ることができなければ、正確な業務管理を行えなくなってしまうからです。

これは、複数の物流企業が共同で荷物を運ぶ共同配送でも同様です。共同配送を行う企業が協力し合い、共通の追跡システムを作る必要があります。

しかし、小さな企業の場合、共同配送に適したシステム構築をすること自体が経営の負担になりかねません。また、複数の企業がシステムを共同で構築するということは、内部情報を他社と共有するということになります。各社の協力と信頼がなければ成り立たない方法だといえます。

 

イレギュラーな対応が難しい

共同配送では、複数の企業があらかじめ相談し合って決めたルートと時間、金額で配送を行います。

自社のみの配送であれば、配送先の追加や細かい時間指定、荷物の変更や追加といった対応も柔軟に行えます。しかし、他社の都合とすり合わせて、あらかじめ計画どおりに運行を行う共同配送では、顧客の要望やトラブルに応じて臨機応変な対応をとることは難しいでしょう。

 

料金の設定がまとまりにくい

運送会社に支払う配送料金は、各企業の契約内容にもとづいて決定します。請求方法や支払い方法も、企業ごとに異なるでしょう。

共同配送では、こうした料金の設定についても各社が連携をとらなければいけません。関わる企業で相談を行い、料金設定や請求方法を検討します。その際、これまでの配送料金や請求方法といった内部的な情報も共同配送を行う他社に知られるリスクがあります。

 

 

共同配送にマッチしやすい商材とは?

共同配送には、特にマッチしやすい商材と、それほどでもない商材があります。共同配送にマッチしやすい商材を取り扱っている企業は、この機会に自社トラックの積載率をチェックすることをおすすめします。効率の良い輸送ができていないのであれば、抜本的な見直しの機会かもしれません。共同配送にマッチしやすい商材は下記のとおりです。

 

 

日用雑貨

スーパーやホームセンターでは、複数のメーカーの日用雑貨を少量ずつ取り扱うのが一般的です。このような商品は、共同配送に適しています。複数の日用雑貨メーカーがスーパーやホームセンター、コンビニなどに個別に荷物を送るのではなく、共同配送センターを経由して共同配送を行うことで、輸送コストと荷受けの手間を大幅に削減することが可能です。

また、雑貨の共同配送は、一般企業向けに行われることもあります。オフィスの備品を注文する際、個別に届くのではなくまとめて届けば、それだけ受け取りや分配にかかる手間を減らせます。

 

医薬品

トラックに物を積み込む際は、形が不揃いだったり,梱包方法が異なっていたりする物を積むよりも、同じ物を積むほうが荷台の隙間が減る分,たくさんの荷物を積むことができ、積み込みの手間もかかりません。医薬品はある程度形が統一されている商品なので、複数メーカーの商品を混載しやすい商材のひとつです。商品自体も軽くて小さい物が多いのも、共同配送に適している理由といえます。

ドラッグストアや処方箋薬局、病院では、さまざまなメーカーの医薬品を取り扱っていますので、共同配送でまとめて届けることができるようになれば、効率化とコストダウンが可能に。

市販の医薬品を取り扱うドラッグストアなどはもちろん、今後、病院や老人ホームなどへの共同配送も増加していくと考えられます。

 

食料品

食料品は、各家庭や施設などで定期的に一定量が消費される商材です。特に生鮮品は、鮮度を保ったまま販売できる適正量をこまめに配送しなければいけません。このような商材は、共同配送のメリットを得やすい商材です。

また、生鮮品以外の食料品も、1個あたりのサイズが小さい物が多いことから、必要な量だけを運ぶと非効率的になりがちです。共同配送でトラックの積載効率を最適化しましょう。

共同配送でコストダウンが実現すれば、商品価格に反映させることもできます。価格競争が激しい昨今、他社よりも魅力ある価格で商品を提供するためにも、共同配送が役立ちます。

 

機械工業品

自動車や産業機械などを作る際は、複数の工場で作成したパーツを集めて組み立てるのが一般的です。複数の場所から物を集めるには、共同配送が効果的だといえます。

機械工業品のパーツを作っている下請け企業が共同配送を行うことで、細かいパーツもコストを抑えて組み立て工場に運べます。パーツを受け取る組み立て工場側の入荷作業の負担も軽減できるため、双方にとってメリットがあります。

 

大型家具・家電

共同配送は「小さな商材を小ロットずつ運ぶのに適している」といわれることがあります。しかし、大型家具や大型家電の個人宅への配送にも、共同配送が役立ちます。

大型家具や大型家電の配送は、納品時の開梱、組み立て、設置を、セットで行う場合がほとんどです。そのため、ドライバー1人では対応できず、2人での配送が基本になります。その分、人件費がかさんでしまうことから、共同配送でコストダウンを図ることが大切です。

大型家具や家電の設置に慣れた担当者がいる配送業者を複数メーカーが共同で利用すれば、作業効率アップや顧客満足度の向上にも寄与できます。

 

アパレル・シューズ

ショッピングモールやアウトレットモールなどには、複数メーカーのスニーカーなどのスポーツ用品やアパレル商品が納入されます。1点1点の量は多くなくても多様な商品を扱うことになりますから、共同配送に適した商材です。

業務の合間で荷物の受け取りを行うショップ側も、共同配送が行われれば、入庫作業にかかる時間と手間を削減できます。

 

 

共同配送で物流にかかるコストを再考してみよう

共同配送は、取扱商材によっては非常にメリットが大きい方法です。ガソリン消費量の削減やCO2排出量の削減にもつながるため、環境にも優しい取り組みだといえます。

これまで当たり前だった「自社の荷物だけを運ぶ」という考え方を変えることで、効率性を上げ、コストカットを実現できる可能性があります。

 

とはいえ、共同配送を成功させるためには、企業間や運送会社とのすり合わせやシステム構築が必須です。十分な準備をせずに始めてしまうと、トラブルや情報漏洩のもとにもなりかねません。

そこで、物流の設計を専門に行っている企業に相談するのがおすすめです。プラス ロジスティクスなら、グループ子会社であるプラス カーゴサービスの輸配送ネットワークも活用しながら、共同配送がどの程度メリットになるのかといった試算を含め、それぞれのお客様にとって効率の良い配送方法をご提案することができます。

 

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拠点集約による商品調達業務の簡略化や配送コストの抑制 │ 株式会社コスパクリエーション様

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