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物流拠点の最適化とは、既存の倉庫や配送センターといった物流拠点の立地や数を再検討し、適正化することをいいます。物流拠点を最適化して無駄をなくせば、物流ネットワークの効率化やコストの削減といった多くのメリットを得られるでしょう。
この記事では、物流拠点の最適化の目的や物流拠点の種類、コツなどを詳しく解説します。物流専門企業プラス ロジスティクスが手掛けた物流拠点の最適化の事例も、参考にしてください。
物流拠点の最適化で、物流の効率化とコストの最適化が実現
物流拠点の最適化とは、倉庫や配送センターといった物流拠点の立地や数を再検討し、適正化することを指します。物流拠点は、多大なコストを必要とします。拠点の立地や数を最適化しないと、多くの無駄が生じてしまうでしょう。実際に、拠点に余計なコストがかかっているケースは数多くあります。
とはいえ、やみくもに拠点の数を減らせば良いというものでもありません。全国に散らばっていた拠点を1ヵ所に集約したことで配送距離が長くなれば、リードタイムも長くなって配送コストがかさむ、といった別の問題につながる可能性もあります。
一概に「減らしたほうがいい」または「増やしたほうがいい」と考えるのではなく、取引の状況や顧客のニーズを分析し、拠点の場所や数を最適化することが重要です。
物流拠点を最適化できれば、コストの削減やリスクの分散といった多くのメリットが得られます。拠点の移設にはコストもかかりますが、適切な見直しができれば、それ以上のリターンを得られると考えてください。
物流拠点の最適化の目的
物流拠点を最適化する目的は、ひとつではありません。業務効率化やコストの適正化など、多くの企業が抱える物流課題の解消に、拠点の最適化が役立ちます。ここからは、物流拠点を最適化する目的を紹介します。
業務の効率化
物流拠点を最適化すれば、業務効率化につながります。
複数の拠点で在庫管理を行うと、全体の在庫数が見えづらくなったり、拠点間で在庫を移動する必要が出たりといった手間が生じがちです。拠点を集約することで、在庫管理の正確性を高めて無駄をなくせるでしょう。
コストの削減
物流拠点を最適化し、無駄な倉庫を排することでコストの削減につながります。
全国に10ヵ所あった拠点を主要な5ヵ所に減らすことができれば、その分、倉庫にかかる賃料や光熱費、人件費などのコスト削減が可能です。1つの拠点にかかるコストが増える可能性はありますが、複数の拠点を維持し続ける場合と比較すれば、コストを抑えられる可能性が高くなります。
さらに、物流拠点の立地もコストに影響を及ぼします。地代はもちろん、人件費、配送先までの距離やルート、選択可能な配送方法などによる輸送費の違いも生じるでしょう。最適化によって、輸送費を削減することも可能です。
環境負荷の軽減
物流拠点を最適化して輸送の効率化ができれば、トラックによるCO2排出量の削減が可能です。
例えば、複数の物流拠点から小型トラックで配送していた荷物を大型トラックでまとめて配送できるようになれば、それだけ輸送効率が上がります。また、断熱素材の導入といったエコにつながる拠点を整備するといった方法で環境負荷を軽減することも可能です。
災害時のリスク軽減
災害時のリスク対策として物流拠点の最適化を行うケースもあります。地震や災害は、いつどこで起きるかはわかりません。大きな災害が発生した際にも、できるだけ物流を止めず、最小限の影響に抑えるためには、拠点の分散や事業継続計画(BCP)の策定などが効果的です。
拠点を1ヵ所に集約する場合は、災害時にどのように対応するのかを予め検討することが求められます。
物流品質の向上
物流拠点の最適化は、物流品質の向上にも役立ちます。次のようなポイントを満たせる拠点の在り方を検討し、物流サービスの質向上を目指しましょう。
- 適正なリードタイム
- 遅延のない配送
- 誤配送の防止
- 破損や汚損の防止
- 商品にあったサイズと特性を持つ梱包 など
物流拠点を最適化して業務効率や輸送効率が上がれば、リードタイムの適正化や納期を守った配送が可能になります。また、物流の無駄をなくして効率良く管理することで、誤配送や破損なども防止できます。
物流拠点の種類
物流拠点は、集約型と分散型に大別できます。それぞれの特徴を踏まえて、自社に適した拠点の選択が必要です。
それぞれの特徴と、メリット、デメリットについても紹介します。
集約型
物流拠点を1ヵ所に集約することを「集約型」と呼びます。複数の物流拠点を持たずに1ヵ所にまとめるため、在庫管理や出荷作業といった倉庫内業務を一元管理できます。拠点による品質のばらつきなどが起こりにくいのが特徴です。一方で、全国各地に配送を行う事業者の場合、配送先までが長距離になってしまう面もあります。
メリットとデメリットを、詳しく見ていきましょう。
・集約型のメリット
複数の拠点を構えることがないため、その分、賃料や管理費などのコストを抑えられます。在庫管理も容易で、拠点間の商品移動も発生しません。また、大量の商品をまとめて入荷、出荷できることから、配送効率を上げられる可能性もあります。
・集約型のデメリット
配送エリアが全国にわたるなど、長距離輸送が発生する場合は輸送コストがかさんでしまいます。また、災害やトラブルが発生した際に物流が完全に止まってしまうリスクもあります。地震や台風などの自然災害だけでなく、火災やシステムトラブルなども心配です。
分散型
複数の物流拠点を構えるのが「分散型」です。配送先に合わせて拠点を設置するケースが多く見られます。
複数の物流拠点を構える企業の中には、戦略的に分散型を選択したのではなく、事業の拡大に応じて、複数拠点を構えている場合もあります。メリットとデメリットを踏まえて分散型が自社の事業に適しているのであれば問題ありませんが、場当たり的な対処法として拠点が増えてしまっている状況は問題があります。
最適化の結果として分散型を選択したのか、最適化が行えていない状態なのかは、区別して考えなければいけません。
分散型のメリットとデメリットは、次のとおりです。
・分散型のメリット
配送先の近くに拠点を構えることで、受注から配送までの日数を短くできます。スピーディーな配送を希望する顧客が多い場合、メリットになるでしょう。また、災害やトラブルが発生した場合も、影響を最小限に抑えやすくなります。
・分散型のデメリット
分散型の拠点を構えるためには、それだけ賃料や維持管理費が多くかかります。複数拠点で同一の商品を扱う場合は、在庫管理の手間も増えます。拠点間での商品移動には、運搬費も必要です。
物流拠点最適化を実施する際のコツ
物流拠点を新しく構えることは大きなプロジェクトですから、自社にとって最適な拠点を、根拠にもとづいた選定が必要です。倉庫の移転・リニューアルの際は、物流の効率化も、同時に進めていきましょう。
物流拠点最適化を実施する際に、意識したいコツを紹介します。
データを分析して目標数値を設定する
物流拠点を最適化するためには、現状をデータで正確に把握する必要があります。配送コストや物流拠点の維持にかかるコスト、人的コスト、物量の推移、配送先の分布、現在のリードタイムなどを、蓄積したデータをもとに分析し、最適な拠点を検討してください。
移転計画を立てる際は、目標コストを設定し、効果を検証することも大切です。
物流工程を洗い出し、業務を見直す
物流拠点最適化を実施する際には、物流拠点を新規稼働させるタイミングで、物流工程を見直すといいでしょう。新しい保管棚やマテハンの導入、物流ロボット、倉庫システムの導入、業務フローの見直しなどを移転と同時に行えば、スムーズに移行しやすくなります。
まずは現状の物流工程を見直して、改善点や自動化できるところがないか、検討してください。
物流専門企業にアウトソーシングする
物流拠点の最適化は、物流専門企業へアウトソーシングするのがおすすめです。
物流拠点の最適化には、緻密な物流戦略や物流に関する高い知見が求められます。自社に合った拠点が分散型なのか集約型なのか、といったことはもちろん、どのエリアが適しているのか、該当のエリアに拠点を設けた場合の配送ルートはどうなるのか、といったことを総合的に検討しなければいけません。
物流専門企業なら、ノウハウを活かして荷主企業にとって最適な拠点の選定や効率化の方法の提案が可能です。最新のロボットやシステム、マテハンなどをコーディネートすることもできるので、最善の効率化を叶えることができるでしょう。
プラス ロジスティクスが手掛けた物流拠点最適化の成功事例
ここからは、物流専門企業のプラスロジスティクスが取り組んだ物流拠点の最適化について、事例を紹介します。
物流拠点の最適化を行う際は、荷主企業の取り扱い商材や配送先、既存の配送ルート、最適化の目的など、多角的な視点で検討を行わなければいけません。できるだけ条件に合う拠点を提案するためには、荷主企業以外の利益を排した検討が必要です。
ノンアセット型の3PLであるプラス ロジスティクスなら、荷主企業様に最も適した物流拠点の提案が可能です。自社の倉庫を持たないからこそ制約がなく、お客様の利益だけを追求し、荷主企業から提供されたデータにもとづき、拠点の最適化から配送ネットワークの構築、倉庫の移転、新しい工程の開発まで、物流全体をコーディネートしています。
プラス ロジスティクスが手掛けた物流拠点最適化の事例から2件、ご紹介します。
大型家具の保管効率も大幅に向上した新拠点で業務拡大
大型家具やインテリアを扱うベイクルーズ様では、物量の増加に伴い、物流センターの移転を計画されていました。従来の倉庫では大型家具に合った保管方法が実施されず、例えばソファなどの大型家具を、倉庫内の床に並べているだけといった状態でした。
プラス ロジスティクスが物流業務を一括で受託した際には、ベイクルーズ様が持つ物流課題や、今後の事業展開を丁寧にヒアリングしました。ベイクルーズ様の商圏を調査した上で、物流戦略に合った新規物流拠点を提案。最適な立地と規模の新拠点を提案し、移転計画から大型家具に適した倉庫設計、物流システム、オペレーションの改善案、家具の組立設置に対応できる配送ネットワークまで、物流改善を実施しました。物流の基礎となる物流拠点の最適化が実現し、従来の課題となっていた保管効率や在庫管理に関する問題が解消されました。
この事例についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
分散していた拠点を1ヵ所に集約し、物流品質も向上
プラス ロジスティクスが物流部門を受託しているEC事業者向けの卸販売を行う企業様では、事業の成長に伴って倉庫が手狭になるたびに拠点が増え、結果的に7ヵ所の物流拠点まで増えていることが課題となっていました。オペレーションや配送ルートも煩雑になり、状況を整理し、物流拠点の最適化を実施しました。
プラス ロジスティクスは、トータルでの物流コストを抑えるための物量分析を実施。7ヵ所あった拠点を1ヵ所に集約し、商品管理業務の効率化や配送コストの削減を実現しました。リニューアルの機会に庫内レイアウトやオペレーションフローを再構築し、物流品質の向上に貢献しています。
この事例についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
物流拠点の最適化にお困りの荷主企業さまはプラス ロジスティクスにご相談ください
物流拠点の最適化は、業務効率化やコスト削減といった多くのメリットにつながります。現在の拠点が最適な状態にあるかどうか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。
物流拠点を最適化する際は、幅広い物流に関する知見をもとに物流戦略にもとづいた提案ができる物流のプロへの相談がおすすめです。プラス ロジスティクスでは、物流拠点の最適化はもちろん、エリアや物件の提案にとどまらない物流全般のご相談を承っています。お客様の立場に立ってさまざまなご要望にお応えしていますので、お気軽にお問い合わせください。