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アパレル商品はレディース・メンズ向け、キッズ向けなどアイテム数が多く、同じ商品でもサイズ違い、カラーバリエーションなどもあるため、その「輸送」「保管」「在庫管理」「配送」を担うアパレル物流は管理が煩雑になりがちです。管理コストがかさむだけでなく、ヒューマンエラーも起こりやすくなるでしょう。
アパレル物流の問題を解決するには、アパレルのノウハウを持った物流代行サービスの利用が便利です。この記事では、アパレル物流の基本のほか、アパレル物流に特化した代行サービスの内容や、利用する際のメリットとデメリット、業者の選び方などについて詳しく解説します。
アパレル物流とは、アパレル商品に特化した保管や在庫管理、配送などの商品の流れのこと
アパレル物流とは、アパレル商品が作られてから消費者の手に渡るまでの「輸送」「保管」「在庫管理」「配送」といった一連の流れです。アパレル物流で扱われる主な商品には、下記のようなものがあります。
<アパレル物流で扱われる主な商品>
- 衣類
- 帽子
- ストール
- バッグ
- 手袋、靴下などの小物
- 靴(シューズ)
自社ECを持つアパレルブランドが増え、顧客側の利便性も高いため、物流量も年々増加傾向に。今後も増加傾向が続いていくことが見込まれます。
アパレル物流の特徴
アパレル物流には、ほかの商品にはない独自の特徴があります。アパレル物流がどのようなものなのか、あらためてその特徴を見ていきましょう。
アパレル物流にはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
配送先は店舗か消費者のいずれか
アパレル物流では、配送先が「店舗」と「個人」の2パターンに分かれます。ショッピングモールやデパートなどの店舗に配送する場合と個人宅に直接配送する場合では、配送までに必要な業務や梱包方法が異なるため、配送先に応じた対応が求められます。
アイテム数、SKUが多い
SKUとは、在庫管理上の品目数を数える際に利用する単位です。色やサイズが異なる商品をすべて違うものとして数えます。
アパレル商品は、商品ごとに複数の色やサイズが用意されていることが珍しくありません。同じデザインのスカートであっても、色やサイズが違う場合は、それぞれ別の商品として扱うことが必要です。例えば、3色、3サイズで展開しているスカートは、全部で9SKUとなります。このように、SKU数が非常に多くなるのが、アパレル商品の大きな特徴です。
ターゲット層もレディース、メンズ、キッズと幅広く、フォーマルやアウトドア、スポーツといったシーンごとの違いもあります。さまざまなターゲットやシーンの商品を取り扱うブランドでは、それだけアイテム数も増え、管理が複雑になるといえるでしょう。
SKUについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。
商品の特性に合わせた保管や輸送が必要
アパレル商品の保管や輸送に際しては、商品の特性を理解した上で適切な方法をとることが必要です。
アパレル商品はコットンやレザー、毛皮など、さまざまな素材で作られているため、それぞれの素材に適した温度や湿度で保管できるように環境を整える必要があります。
また、型崩れや破損にも注意しなければなりません。コートやドレス、スーツなどはハンガーに掛ける、帽子や靴は箱に入れるといった、品質を維持するための対応が必須です。
生産量や流通量がトレンド・季節に左右される
アパレル商品は、生産量や流通量がトレンドや季節に大きく左右されます。そのため、物流の変化にも柔軟に対応できる体制が求められます。
セール時期には物流が多くなる半面、通常時は抑えられる傾向にあります。また、店舗では夏物・冬物などの季節向け商品の入れ替えが行われるため、それに合わせた物流への対応が必要となります。
保管や流通加工に適した特別な設備やスキルが必要
アパレル商品を扱う倉庫には下記のような、商材に合った設備やスキルが求められます。
<アパレルを扱う倉庫に必要とされる主な設備やスキル>
- 色やサイズごとに商品を管理できる棚
- アクセサリーのようなデリケートな商品を扱える設備
- 縫製やボタン付け、プレスといった流通加工が可能な設備や人材
- アパレル独自の流通加工が可能なスキルを持った人材
このように、アパレルを扱う倉庫では、アパレル商品の管理や流通加工に対応できる設備と、スキルを有したスタッフが必須です。いずれかが欠けていると、適切な商品管理や流通加工はできないといえます。
アパレル物流が抱える課題
アパレル物流には、さまざまな課題があるといわれています。アパレル物流ならではの課題を見ていきましょう。
発送までに時間がかかる
アパレル物流では、受注から発送までにやらなければならない作業が多く、時間がかかりがちです。アパレル物流の主な工程は、下記のとおりです。
<アパレル物流の受注から発送までの工程>
- 受注
- ピッキング
- 流通加工
- 検針・検品
- 梱包
- 発送
縫製やタグ付けといった流通加工や検針・検品は、アパレル物流ならではの作業です。また、SKUが多いことからピッキングも手間がかかります。店舗に在庫がない場合、受注から発送までに時間がかかれば、それだけ欠品が長く続いて販売機会の逸失につながります。
また、直接顧客に商品を販売するECサイトでも、配送までに時間がかかると顧客満足度の低下を招きかねません。
できるだけリードタイムを短くするためには、商品をシステム管理するとともに、倉庫内作業の自動化を進めることが大切です。
SKUが多く在庫管理が煩雑になりがち
アパレル物流では、商品の特性上どうしてもSKUが多くなりがちです。同じ商品の中でも、色やサイズによって複数のパターンが存在するため、管理の徹底が必要です。
在庫をアナログに管理していると、違う商品を販売してしまったり、帳簿上の在庫数と倉庫内の実数が合わなくなってしまったりする可能性が高まります。
また、アパレル業界では返品が行われることも少なくありません。返品対応は自動化が難しく、ミスの原因になるだけでなく、手間もかかるため多くのリソースが必要です。
廃盤品のコントロールが難しい
アパレル商品は、流行の移り変わりによって需要が左右されます。廃盤品をいつまでも在庫として持っていることは無駄につながるため、早い段階で売り切らなければ、余剰在庫となって損失につながります。
そのため、商品の発売タイミングのコントロールや正確性の高い需給予測、完売につなげるための売り方の工夫などが必要であり、アパレル商品のマーケティングに精通したコンサルティングも求められます。
アパレル物流の代行で委託できる業務とは?
アパレル物流では、物流に関わる業務を物流専門企業に委託することが可能です。ここでは、委託可能な業務についてご紹介します。
荷受・入荷
荷受・入荷は、トラックで運ばれてきた商品を倉庫で受け取る作業です。荷受から一貫して業務を委託することで、手間をかけずに商品管理が可能です。
入荷検品
入荷した商品の数量や内訳、品質に問題がないかどうか、入荷検品を行います。
WMS(倉庫管理システム)へのデータ入力・在庫管理
入荷した商品をシステム管理するために、商品別のステータスを入力します。商品の入出荷数や在庫数がリアルタイムで把握できるため、正確性の高い在庫管理が可能です。
入庫・保管
倉庫に受け入れた商品を、形状や素材に適した環境で保管します。
出庫指示・ピッキング
オーダー内容に応じて出庫指示を出し、ピッキングを行います。代行業者によっては、荷主企業がシステムを通して直接倉庫に出庫指示を出すことも可能です。
流通加工・出荷検品
アパレルに特化した物流代行業者の多くは、検針やプレス、裾上げ・丈直しなどの縫製といった流通加工にも対応しています。ただし、対応範囲は業者によって異なるため、事前に確認が必要です。流通加工後は集荷検品を経て発送されます。
主な流通加工の作業内容は下記のとおりです。
- 検針
商品に折れたミシン針やまち針などが残っていないか、検針機などを使って調べます。
- タグ付け・シール貼り
値札などのタグを付けたり、商品や箱にシールを貼ったりする作業です。
- 裾上げ・丈直しなどの縫製加工
スラックスなどの裾上げ・丈直しといった簡単な縫製加工も流通加工を行います。
- 洗濯ネーム作成・縫い付け
洗濯ネームを作成したり、商品に縫い付けたりします。
- たたみ直し、ラッピング、アソート
商品をきれいにたたみ直したり、小物類を箱にセットしてラッピングしたりといった業務です。丁寧に行うことで、次回以降購買意欲を高める効果が期待できます。
- プレス
衣類やハンカチといった商品にアイロンをかけてしわを伸ばし、きれいに見せることをプレスといいます。アパレル製品の品質を高め、顧客満足度を向上させるのに欠かせない加工です。
- 出荷検品
発送する前に、汚れや破れ、ほつれといった問題がないかどうかを確認します。
梱包・発送
納品伝票を封入し、適切な梱包で発送します。顧客の属性などに応じたサンプル品やチラシを同梱する場合もあります。
ささげ
「ささげ」はECサイト特有の業務で、ECサイト上に掲載する商品写真の「撮影」、データを提示するための「採寸」、特徴を説明するための「原稿作成」の3つの業務をまとめて指す言葉です。
ECサイトのクオリティを左右するささげ業務も、代行業者に委託することができます。プロの技術で商品撮影や原稿作成をすることで、商品のアピールが可能に。顧客に正しいデータを提供するための正確な採寸も重要です。
アパレル物流を代行業者に委託するメリット
アパレル物流を代行業者に委託することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、アパレル物流を代行業者に委託する3つのメリットを解説します。
業務負担を軽減できる
代行業者を活用すれば、物流にかかる業務負担を軽減できます。その分、社内のリソースを別の業務にあてることが可能です。
品質を担保できる
代行業者は物流のプロですから、安定した物流品質を担保できます。高度な自動化が可能な代行業者を活用すれば、ヒューマンエラーが起こりにくくなり、リードタイムの適正化にもつながります。
コストを抑えられる
代行業者を依頼すると、代行にかかるコストが発生する反面、自社で物流を担う際に生じるコストは削減可能です。自社で自動倉庫などを整備する場合と比較すれば、費用負担を抑えて利用できるでしょう。
アパレル物流を代行業者に委託するデメリット
アパレル物流の代行業者への委託にはデメリットもあります。下記で解説するデメリットが、自社にとってどの程度課題になるのかを検討してください。
初期費用・月額費用が必要
アパレル物流を代行業者に委託するには、初期費用や月々の代行費用などのコストが生じます。削減できるコストや得られるメリットと比較して検討することが必要です。
自社に流通ノウハウが蓄積できない
物流業務を外部委託すると、物流に関するノウハウの蓄積ができません。将来的に自社で物流業務を手掛ける予定がある場合は、注意が必要です。
クレーム処理など即時対応が難しい場合も
クレームなどが発生した際に、社内で状況がわからないとスムーズな対応をとれないおそれがあります。情報共有の仕方や、クレーム発生時の対応策などを委託業者と事前にすり合わせておくことが求められます。
アパレル物流の代行業者の選び方
アパレル物流の代行業者は、自社の大切な商品や情報を委ねるパートナーです。信頼できる代行業者の選び方を3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
任せたい業務を高クオリティで実施しているか
システム管理や流通加工、倉庫の自動化など、自社が代行を希望する業務を明確にして、それらに対応できる業者で絞り込みをする必要があります。
その後、作業のクオリティについて確認します。商品の保管や品質管理の状況のほか、トラブルの発生事由や解決方法などと併せて、作業効率の向上を常に目指し続けている業者を選ぶのがおすすめです。旧来の方法に固執するのではなく、積極的に効率化や高品質化に向けた対策をとっている業者を見つけてください。
例えば、プラス ロジスティクスグループのプラス カーゴサービスでは、ショッピングモール向けのアパレル配送について、複数ブランドの混載による配送効率アップといった工夫を行っています。配送運賃のコストダウンや受け取り側の負担削減、環境への配慮など、複数のメリットを得られる方法です。業務を改善することで、荷主さまのメリットにもつながる、環境に優しい物流を実現しています。
コストが予算に見合っているか
物流の外部委託には、一定のコストがかかります。自社の予算と照らし合わせて、長期的な視点でコストが見合うかどうかを確認してください。
平均的な物流量のコストを確認するのではなく、繁忙期と閑散期を通した年間のコストで検討することをおすすめします。将来的に物量や委託範囲が変わった際のコストの変化や対応可否なども、事前に見ておくことが必要です。
顧客対応などのサポートは充実しているか
セキュリティ面やトラブル発生時の対応、顧客からの問い合わせ対応の可否など、通常時以外のサービスやサポート体制も大切な確認事項といえます。顧客から信頼されるサービスを提供できる業者を選ぶことが必要です。
スムーズなやりとりと情報共有のために、定期ミーティングの開催など、コミュニケーションを密にとれる業者を選ぶといいでしょう。
アパレル物流の代行など、物流の課題にお悩みのお客さまはお問い合わせください
アパレル物流では、さまざまな課題に直面しがちです。効率良く、正確な物流の実現を目指すなら、物流の専門業者プラス ロジスティクスグループにお任せください。
プラス ロジスティクスグループでは、それぞれのお客さまの商材やニーズに合った物流の設計・代行を行っています。お客さまごとに最適な物流の形をご提案していますので、アパレル業界特有の課題にもスムーズに対応可能です。お気軽にご相談ください。