出荷業務とは?物流における作業内容や出荷ミスの対策方法を解説

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「出荷」は、受注から発送までの幅広い業務を内包しています。この記事では、物流における出荷の意味と具体的な作業範囲、誤出荷を防ぐためのポイントについて、わかりやすく解説します。

出荷業務の見直しや効率化を目指す方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

出荷とは倉庫で準備し、配送先に荷物を送り出すこと

物流業界における出荷は、商品を倉庫から顧客やエンドユーザーなどに送り出すための、注文を受けてから発送するまでの一連の業務を指します。

 

出荷作業において生じたミスは、商品の誤配送や破損につながり、顧客やエンドユーザーのダイレクトな反応につながります。スムーズな取引ができないばかりか、顧客やエンドユーザーからの信頼を失いかねません。商品の受注から発送までに行うすべての業務を含む出荷は、物流の流れの中でも非常に重要な役割を担っているといえるでしょう。

 

なお、下記を物流の5大機能と呼びますが、出荷は5大機能すべてに関わる業務です。このことからも、出荷業務の重要性がわかります。

 

<物流の5大機能>

  • 輸送:商品をある場所から別の場所へ運ぶこと
  • 保管:倉庫などで商品を保管すること
  • 荷役:トラックや船などへの商品の積み降ろしのこと
  • 包装:商品を梱包すること
  • 流通加工:値付けやラッピングといった流通上で行う加工のこと

 

 

出荷業務の範囲と流れ

 

出荷業務の範囲と流れ

出荷とは、受注から発送までで行う一連の業務を指す言葉です。それぞれのステップで実際に行う業務は下記のとおりです。

 

  1. 受注

受注とは、取引先や消費者からの注文を受けることをいいます。受注は、出荷作業のスタートとなる業務です。注文表や受注データをもとに、その後の出荷作業を行います。受注があるまで、荷物は倉庫内の棚などに保管された状態です。

 

  1. 出荷指示

出荷指示は、受注内容をもとに倉庫などの現場で働くスタッフに対して行う指示のこと。適切なタイミングで適切な出荷指示を出すことが、納期を守る出荷につながります。データで管理するほか、出力した出荷伝票で指示することもあります。

 

  1. 在庫引き当て

在庫引き当てとは、商品の確保を意味する言葉です。出荷指示をもとに、倉庫内に確かに在庫があるかどうかを確認して、確保します。

ただし、在庫引き当ての時点では、商品のピックアップは行いません。在庫数から出荷予定の数を引き、その後に注文を受けられる在庫の上限数を明らかにするのが、在庫引き当ての目的です。

 

  1. ピッキング

ピッキングとは、出荷指示に従って、倉庫から実際の商品を集める作業のこと。ピッキングには、倉庫内を回って必要な商品を注文単位でピックアップしていく「摘み取り方式」と呼ばれる方法と、複数の商品をまとめてピッキングした後で個別の注文ごとに仕分ける「種まき方式」の2種類があります。

多品種小ロットの商品を扱うECサイトなどでの出荷には摘み取り方式、少ない種類の商品をまとめて出荷する場合は種まき方式が適しています。

 

ピッキングについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

物流におけるピッキングとは?効率化するシステムや方法を解説

 

  1. 検品

ピッキングした商品と出荷指示書を照らし合わせて、間違いがないか確認するのが検品です。出荷前の最終チェックとなるため、商品の品番、数、色、サイズなどとともに、商品の劣化や破損、汚損がないかどうかを確認する必要があります。

検品についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

検品作業とは?効率化の方法や物流での重要性、委託するメリットを紹介

 

  1. 梱包

梱包とは、商品が破損しないように、特性やサイズに合わせて段ボールや緩衝材などを用いて頑丈に包むことです。必要に応じて、納品書などを同封する場合もあります。

梱包した後は輸送用の伝票を発行して貼付し、商品の特性によっては割れ物ラベルなども貼ります。

梱包についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

梱包作業を効率化する方法とは?コツや外注の成功実例も紹介

 

  1. 仕分け

仕分けとは、出荷準備が整った荷物を、配送会社別や送付先エリア別に分ける業務です。仕分けにミスがあると、配送までの時間が長くなってしまいます。かといって、慎重に行いすぎるとトラックなどへの積み込みが遅れることに。ミスなく、スピーディーに行わなければいけません。

 

  1. 発送

発送とは、仕分けが完了した荷物をトラックなどに積み込み、配送先に向けて送り出す業務です。トラックは、自社内の配送部門でまかなうこともあれば、提携している配送業者を利用することもあります。

 

 

誤出荷が生じる主な原因

誤出荷とは、受注したものとは異なる商品や数量を出荷することを指し、ビジネス上では避けたい大きなミスです。誤出荷は、顧客やエンドユーザーの大きな不信感や不満につながるため、十分注意して出荷業務を行うことが求められます。

ここでは、誤出荷が生じる主な原因について、詳しく見ていきましょう。

 

注文と違う商品が届く

誤出荷の代表例は、注文とは異なる商品が届いてしまうトラブルです。特に間違いが起こりやすいのが、同じ商品での色やサイズが違うケース。複数の色展開やサイズ展開をしている商品は、色やサイズごとに品番を変えて、商品名ではなく品番で管理するといった工夫が必要です

 

商品の数が違う

商品数の間違いも、起こりやすいミスです。1個の注文に対して1箱や1ケース送ってしまうなど、単位の間違いによる誤出荷も少なくありません。ピックアップの際は、数字だけでなく単位にも注意が必要です。

 

出荷漏れ

出荷漏れには、2つのパターンがあります。ひとつは、商品を複数種類頼んだにもかかわらず、そのうちの一部だけが届くケースです。ピッキングの際に商品を入れ忘れたり、別の梱包に入れてしまったりすることで発生します。

もうひとつは、そもそも梱包や積み込みの段階で、該当の商品を正しいトラックに積み込めなかったケースです。この場合は、商品の一部ではなく全部が不着となってしまいます。

いずれにしても、二重チェックをしたり、最終確認を確実に行ったりするなどの対処が必要です。

 

宛先間違い

宛先を間違う誤出荷は、本来送るはずの相手とは別の相手に商品を送ってしまうもの。2つの宛先を取り違えて、あべこべに荷物を送ってしまう「テレコ出荷」と呼ばれるケースが多くあります。

 

宛先間違いは、手作業で送付状の貼り付けや記入を行う際に発生しやすいミスです。また、仕分けミスによって発生することもあります。

宛先間違いには、希望した商品が手元に届かないだけでなく、荷物の中身から個人情報が漏れてしまうリスクもあります。顧客の信用を大きく損なう重大な間違いだといえるでしょう。

 

納品書、伝票の入れ間違い

商品に同封する納品書や伝票を入れ間違えてしまうミスもあります。商品自体は正しいものが届いていたとしても、別う納品書や伝票から別人の個人情報や買い物履歴が明らかになってしまうため、テレコ出荷と同じく信用を失う事態に陥りやすいと考えられます。

 

ありがちなケースは、同時に出荷作業を行った荷物のあいだで、納品書を取り違えるパターンです。納品書や伝票の封入については、同時に作業をしないだけでも回避できます。

 

 

誤配送を防ぐ対策

誤配送を防ぐためには、出荷業務の体制やシステムの見直しを行いましょう。顧客からの信用を得るためにも、ブランドイメージを毀損しないためにも、誤配送が起こりにくいシステムを構築することが大切です。具体策には、下記のようなものがあります。

 

チェック体制を見直す

商品の種類、色やサイズ、数量、同封する納品書、送付状などは、間違いがないよう十分なチェックを行います。チェックの精度を高めるためには、目視に頼らないシステム的な確認が効果的。同様に、1人ではなく、2人体制でダブルチェックをするのもスタンダードな方法です。

 

スタッフの配置を最適化する

各業務の担当者が1人しかいないと、ミスに気づかないまま処理が進んでしまうリスクが高まります。また、人手不足の部署では、確認漏れが起こりやすくなるもの。出荷業務にあたるスタッフの人員配置を見直して、ミスが起こりにくい体制を作ることが求められます。

また、スタッフにはそれぞれ得意不得意があります。特性に合った業務を任せることでも、ミスを軽減する効果が期待できるでしょう。

 

適切な作業スペースを保つ

出荷作業を行うスペースが狭いと、荷物の取り違えや伝票の入れ間違いが起こりやすくなります。商品を破損するリスクも高まるため、実務にあたるスタッフが必要だと感じる広さを確保できるようにしてください。

作業スペースの清掃と整理整頓も、さまざまなミスの軽減につながります。不要なものが混入したり、商品が汚れたりすることがないよう、清潔を保ちましょう。

 

WMS(倉庫管理システム)を導入する

WMS(倉庫管理システム)は、出荷業務を含む倉庫管理業務全般を一元管理できるシステムです。属人化しがちな作業をシステム的に処理することで、正確性を高め、業務効率を上げる効果が期待できます。

WMSを活用することで、誤配送の原因となる商品の取り違えなどを防ぎやすくなるでしょう。また、作業スタッフの練度による品質の差も出にくく、一定品質を保つことが可能です。

 

専門業者へのアウトソーシングを活用する

出荷業務全般を、専門業者にアウトソーシングするのもひとつの方法です。アウトソーシングなら、専門業者の持つ最新システムやノウハウを活用した、ミスのない作業を実現できます。業務を外部業者に任せることで、自社の持つリソースをコア業務に注力できるというメリットもあります。

 

 

出荷業務の精度向上にはアウトソーシングがおすすめ

出荷業務の精度を上げ、効率的に処理するために、自社による出荷業務の課題を洗い出した上で、チェック体制を見直したり、WMSを導入したりといった対策をとることがおすすめです。

しかし、出荷業務の効率化の中で最も手軽なのは、物流専門企業へのアウトソーシングといえます。手間をかけることなく、最新システムによる高品質な物流を実現することができるでしょう。

 

プラス ロジスティクスグループでは、それぞれのお客様の取扱商材やその特性に合った、精度の高い出荷業務の在り方をご提案します。出荷業務の効率化や品質向上を目指しているお客様は、ぜひご相談ください。

 

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出荷業務に関するよくある質問

Q1_出荷とは?
物流業界における出荷は、商品を倉庫から顧客やエンドユーザーなどに送り出すための、注文を受けてから発送するまでの一連の業務を指します。出荷作業において生じたミスは、商品の誤配送や破損につながり、顧客やエンドユーザーのダイレクトな反応につながります。出荷は、物流の流れの中でも非常に重要な役割を担っているといえるでしょう。
Q2_出荷業務の流れは?
出荷業務の流れは、主に受注処理と倉庫作業のステップがあります。まず受注を受けて出荷指示を発行し、倉庫でピッキングと仕分けを行います。ピッキングでは商品を集め、仕分けで配送先別に分類します。検品で正確性を確認し、梱包を行い、発送準備を整えます。最後に、配送車両に荷物を積み込んで顧客に発送をするまでが出荷業務の流れです。
Q3_出荷と出庫の違いは?
「出荷」と「出庫」は業務の対応範囲に違いがあります。「出荷」は、顧客から受注を受け、梱包を行い商品を発送するまでの一連の業務を指します。一方で「出庫」は、商品や荷物を倉庫の外に出す業務を指します。出庫業務は出荷業務の一部とも言えます。

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