サプライチェーンとは?物流工程をマネジメントするメリットを簡単に解説

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サプライチェーンとは、ある製品の原料の調達から製品の製造、製品が消費者に届くまでのモノの流れを指す言葉です。これらの工程は、一つひとつが独立したものではなく、密接につながっていることから、鎖に見立てて「サプライチェーン」と呼ばれています。

サプライチェーンを適切にマネジメントすることができれば、それぞれの工程に関わる企業が効率良く業務を行えるようになるでしょう。この記事ではサプライチェーンの基本と、サプライチェーンマネジメントを取り入れるメリットなどについて解説します。

 

 

サプライチェーンとは製品の原材料調達から販売までの一連の流れのこと

 

サプライチェーンの流れ

 

サプライチェーンとは、ある商品が作られ、消費者の手に渡るまでの一連のモノの流れのことです。原料の調達や製造、在庫管理、配送、販売までのすべてがサプライチェーンに含まれます。さまざまな企業が関わり合い、そのあいだで物流が発生し、綿密に絡み合っているのが特徴。サプライチェーンをマネジメントすることで、さまざまな面でメリットが生まれると考えられます。

下記で家電の場合を例に、サプライチェーンについて詳しく見ていきましょう。

 

<家電が消費者の手に渡るまでのサプライチェーンの流れ>

 

  1. 原材料の調達

家電の多くは金属類やプラスチック、ガラスなど、さまざまな素材を組み合わせてできています。これらの原材料を調達するところから、家電製品づくりが始まります。

 

  1. 家電を製造する

原材料を加工して、家電製品を作ります。原材料だけでなく、ネジなどの部品を別の会社から仕入れる場合も多いもの。このようなケースでは、部品メーカーや部品を取り扱う商社などもサプライチェーンの中に含まれます。

 

  1. 出来上がった家電が倉庫に保管される

出来上がった家電は、物流業者によって倉庫へ移送。適切に保管されます。

 

  1. 倉庫に保管されていた家電が店舗に出荷される

いったん倉庫で保管された家電は、その後、発注内容に応じて各地の家電店などへ出荷されます。なお、メーカーによっては、消費者への直販を行っている場合も。その際は、メーカーから消費者へ直接配送します。

 

  1. 店舗で消費者に販売される

倉庫から届いた家電は店頭に並べられ、消費者に販売されます。このとき、家電のサイズや特徴によっては、消費者が直接持って帰るのではなく、配送サービスや設置サービスが提供されることがあります。なお、ECや通信販売での販売の場合、ウェブショップへの商品情報の掲載、受注、配送という流れです。

 

以上の流れが、家電を例にとったサプライチェーンの流れです。家電は、町の電気店やインターネットショップなどで販売されて消費者の手に渡ります。

しかし、家電を作っているのは、ショップではなくメーカーですし、メーカーは部品や原材料を仕入れて商品を生産しています。さまざまな業者を経て家電が作られ、消費者へと届くのです。

 

 

サプライチェーンにおける情報の流れ

サプライチェーンでは、原料の調達、製品製造、保管、販売、消費者という順で「モノ」が移動していきます。しかし、サプライチェーンに関する「情報」は、モノの流れとは逆に、消費者起点で流れていきます。

ここでいう情報とは、「どのような消費者が、いつ、どこで、どの製品を買ったのか」です。この情報は、店舗のみならず、メーカーにとって物流の改善や商品の開発のために非常に有益なものとなります。

 

情報がサプライチェーンを通して小売店の本部やメーカーに共有されることで、適切な在庫量や生産量が推定できるようになります。これによって、原料の調達量や配送ルートの調整、見直しが可能に。さらに、顧客ニーズを把握することで、新製品の開発や商品リニューアルにも役立てられるのです。

 

 

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?

サプライチェーンには、供給元から消費者へ流れる「物の流れ」と、反対に消費者から供給元へ流れる「情報の流れ」の2つの流れがあります。この流れを管理し、最適化することが「サプライチェーンマネジメント(SCM)」です。

サプライチェーンは、複数の企業によって成り立っていて、それぞれの業務は密接に関わり合っています。個別の工程や業務と考えるのではなく、一連の流れとして管理することで、全体の最適化を目指すことが可能です。

 

SCM(サプライチェーンマネジメント)

 

物流、ロジスティクス、サプライチェーンマネジメントの違い

サプライチェーンマネジメントと混同しがちな言葉に「物流」や「ロジスティクス」があります。それぞれ何が違うのか、あらためて確認しておきましょう。

 

物流についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

物流とは?ロジスティクスや商流、流通との違いをわかりやすく解説

 

ロジスティクスについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

ロジスティクス(logistics)とは?物流における意味をわかりやすく解説

 

物流、ロジスティクス、サプライチェーンマネジメントの違い

物流 商品が消費者に届くまでの過程。「輸送」「保管」「荷役」「包装」「流通加工」「情報管理(情報ネットワーク)」が代表的な機能。
ロジスティクス 物流管理のこと。社内物流(生産物流)について使うことが多い。物流の適切な管理・効率化や、コスト削減を図ることなどを指す。
サプライチェーンマネジメント サプライチェーンに関わる複数の企業が協力し、全体のコストを下げて最適化を図ること。

物流は、商品が作られてから消費者に届くまでの過程のことで、その過程を管理して最適化を図ることをロジスティクスと呼びます。

一方、サプライチェーンマネジメントは、原料の調達から消費者の手元に届くまでの流れの管理や最適化のことです。サプライチェーンは、ロジスティクスよりもさらに広い範囲での最適化を目指します。つまり、ロジスティクスは、サプライチェーンマネジメントに内包されているといえるのです。

 

ただし、ロジスティクスは多くの場合、生産工程から消費者の手に届くまでをメーカーが一括管理するようなケースで使われます。サプライチェーンマネジメントでは、サプライチェーンに関わる複数の企業が協力し合い、全体の最適化を目指すため、対象とされる企業の範囲も異なる点がポイントといえます。

 

 

サプライチェーンマネジメントを行うメリット

サプライチェーンマネジメントを行うことで、メーカーや販売店はどのようなメリットを得られるのでしょうか。サプライチェーンマネジメントの主なメリットを、5つご紹介します。

 

無駄がわかり、コスト改善が可能に

サプライチェーンマネジメントを実施することで、サプライチェーンの全工程を見直すことができます。俯瞰して情報を一元管理することで、業務上で無駄になっていることがわかり、コストカットが可能になるでしょう。各工程でコストを削減することができれば、新しいサービスや商品の開発が可能となり、売上の拡大にもつながります。

また、一連の流れをマネジメントすることによって、適したサプライヤーの再選定につなげることも可能です。

例えば、より安定的な部品提供が可能なサプライヤーを選定したり、環境への配慮が可能なサプライヤーを選定したりすることで、サービスや商品に付加価値を与えることが期待できます。

無駄を省き、より優良なサプライヤーを見極めて選定し、費用対効果を高めることができるのは、サプライチェーンマネジメントならではといえます。

 

在庫の適正管理ができる

在庫を適正に管理することは、店舗にとってもメーカーにとっても重要な課題です。サプライチェーンマネジメントによって、消費者の購買情報を各工程の担当事業者がリアルタイムに把握し、共有することで、下記のようなメリットが得られます。

 

  • 販売店:スピーディーな発注が可能になり、販売機会の損失を防ぐ
  • 倉庫:店舗へのスムーズな出荷と、必要な在庫量の正確な把握が容易になる
  • 製造:顧客ニーズに応じて製造数の調整ができる
  • 原料調達:季節などによる顧客ニーズの変化に応じた調達が可能になる

 

このように、サプライチェーンマネジメントによって、リアルタイムでの在庫状況の把握と、それに応じた納品が可能に。さらに、販売データを積み重ねて季節ごとのニーズの変化や傾向を知ることは、適切な生産計画の立案にもつながるでしょう。

 

リードタイムの適正化

さまざまな工程が組み合わさって構築されるサプライチェーンでは、それぞれの工程にかかる時間と、行程同士をつなぐ物流にかかる時間を正確に読むことが必要です。

商品を製造して店舗に運ぶまでには、工場からの出荷、倉庫への入荷、検品、入庫、保管、店舗からの出荷指示、梱包、店舗への発送、店舗での入荷、検品、値付け、陳列といったプロセスが発生します。

サプライチェーンマネジメントによって、すべての工程における情報共有と管理が適切に行われていれば、それだけ業務にかかる時間を短縮することができ、かかる時間をより正確に算出することも可能です。これによって、消費者が必要とするタイミングと供給されるタイミングとのズレを最小限にできます。

例えば、スニーカーを買いに店舗へ行ったが、自分に合うサイズがなかったため注文したとします。通常の流れでは、店舗が倉庫に発注をかけ、倉庫がそれをもとに商品を商品棚から探し出し、店舗へ出荷します。スニーカーを受け取るためには、自身で再び店舗へ行くか、店舗のスタッフが梱包し、お客様へ発送することになります。

一方、それぞれの情報共有がスムーズに行われる仕組みが構築されていれば、受注情報を店舗から倉庫が受け、倉庫から直接お客様へお届けすることも可能となります。

 

サプライチェーンマネジメントを行うことによって、各工程で発生する時間と業務の無駄をなくせば、スムーズに消費者の元に必要な商品を届けられるようになります。

 

情報リソースが最適化され、需要予測が可能に

サプライチェーンマネジメントでは、サプライチェーン間でデータを共有することで、さまざまな面で効率化を図ることが可能です。金銭的、物的リソースが最適化され、正確に需要予測をすることも期待できます。

例えば、部品加工業者からメーカー、店舗までのサプライチェーン間で、さまざまなデータをリアルタイムで共有することで、需要と供給のバランスをそれぞれのサプライヤーが即時に把握。正確な需要予測にもとづいた安定的な生産や出荷、在庫、販売の計画および管理を、在庫の過不足なく実施できます。

 

人的リソースの最適化

サプライチェーン全体を見渡し、必要な工程に必要なだけの人材を配置することは、効率化の中でとても重要です。サプライチェーンマネジメントを実施することで、需要の拡大や市場の変化を想定でき、各工程における人手不足や人手過多など、人的リソースの課題を洗い出すことができます。

適切な人員計画を立てることにつながり、正確な生産量の計画が期待できるでしょう。

 

 

サプライチェーンで起こりがちな問題

サプライチェーンは関わる企業が多く、工程も複雑化しているため、企業間で問題が発生することもあります。サプライチェーンで起こりがちな主な問題は、下記のとおりです。

 

複雑化した工程の中でリソースの無駄が隠れている

サプライチェーンは、長いビジネスのやりとりの中で作り上げてきた経緯で複雑化していることが多く、無駄が隠れていて、適切なリソース配分ができていないことがあります。

例えば、ある製品を作り上げる中で、部品Aは国内生産で、部品Bはさまざまな経緯で海外生産になっているような場合、時間の経過の中でその無駄が見過ごされていることもあります。その結果、リソース配分が最適化されず、輸送コストの増加につながっていることもあるでしょう。

サプライチェーンを可視化し、課題が潜んでいないかを各工程で分析することが必要です。

 

リスクマネジメントがとれていない

サプライチェーンは、何か問題が起きたときに連鎖的に影響が及ぶ企業が多いことが特徴です。例えば、災害や材料費の高騰、情報漏洩、倒産など、いつ起こるかわからない課題へのリスクヘッジが難しい面があります。

さまざまな理由でサプライチェーンの一部が停止すると、サプライチェーン全体が機能不全に陥ってしまいます。サプライチェーンマネジメントを取り入れる際には、運営のための仕組みやルールを設定し、リスク対策を定期的に確認することが必要です。

また、各サプライヤーの経営状況を常に見極めておくことで、倒産や生産規模の縮小が生じた際にも、自社に与える影響を小さくすることもできます。

 

本来の顧客ニーズをくみ取りきれていない

サプライチェーンマネジメントを導入して成果を出すまでには、コストや時間が必要です。企業間のやりとりや関係性の構築に集中するあまりに視野が狭くなり、最終顧客である消費者のニーズが忘れられるような事態は避けなければいけません。

顧客の意向を無視した独りよがりなビジネスにならないよう、時勢の変化や顧客ニーズを意識したサプライチェーンを構築することが大切です。

需要変動を把握し、顧客の目線に合わせた商品やサービスを開発する企業努力を続けましょう。

 

 

サプライチェーンマネジメントについて検討してみよう

適切なサプライチェーンマネジメントは、メーカーはもちろん、店舗、物流業者、消費者など、サプライチェーンを構成するすべての企業やユーザーにとってのメリットにつながります。

 

とはいえ、複数社が協力し合って行うサプライチェーンマネジメントを実現するのは、簡単なことではありません。各社の情報基盤の統一化や強固な連携には、物流やサプライチェーンの設計および最適化に特化した物流企業が役立ちます。「物流設計企業」であるプラス ロジスティクスグループまでお気軽にご相談ください。

 

プラス ロジスティクスへのお問い合わせはこちらから

 

 

サプライチェーンに関するよくある質問

Q1_サプライチェーンとは?
ある商品が作られ、消費者の手に渡るまでの一連のモノの流れのことです。原料の調達や製造、在庫管理、配送、販売までのすべてがサプライチェーンに含まれます。さまざまな企業が関わり合い、そのあいだで物流が発生し、綿密に絡み合っているのが特徴。サプライチェーンをマネジメントすることで、さまざまな面でメリットが生まれると考えられます。
Q2_サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?
サプライチェーンには、供給元から消費者へ流れる「物の流れ」と、反対に消費者から供給元へ流れる「情報の流れ」の2つの流れがあります。この流れを管理し、最適化することが「サプライチェーンマネジメント(SCM)」です。 サプライチェーンは、複数の企業によって成り立ち、各業務は密接に関わり合っています。個別の工程や業務と考えるのではなく、一連の流れとして管理することで、全体の最適化を目指すことが可能です。
Q3_物流とサプライチェーンの違いは?
物流は、商品が作られてから消費者に届くまでの過程のことで、その過程を管理して最適化を図ることをロジスティクスと呼びます。一方、サプライチェーンマネジメントは、原料の調達から消費者の手元に届くまでの流れの管理や最適化のことです。サプライチェーンは、ロジスティクスよりもさらに広い範囲での最適化を目指します。つまり、ロジスティクスは、サプライチェーンマネジメントに内包されているといえるのです。

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