運送会社の役割とは?物流会社との違いや業務内容、課題を解説

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運送会社は、主にトラックを使って荷物を運搬することを生業とする会社のことです。運送会社のビジネスモデルは、商品を指定の場所まで運ぶことで、送料と手数料を受け取るというもの。一方の物流会社は、物流の6大機能を一括して担います。

この記事では、運送会社と物流会社、それぞれの役割や立場の違いについて解説します。

 

 

運送会社とは主にトラックで品物を運ぶ業務を行う会社のこと

運送会社とは、主にトラックを使って荷物を運ぶ仕事を行う会社です。荷物の輸送に特化したサービスを行うという特徴があります。

運送会社にはさまざまな例がありますが、身近なところでは「宅配便」が該当します。個人から個人への荷物の発送や、物流倉庫から個人宅への商品の発送などを行います。

 

そのほか、特定の荷物を運ぶことに特化した運送会社や、大型の荷物のみに対応した運送会社、特定の1社からの依頼のみを受ける運送会社なども存在しています。また、トラックのほか、自動車で荷物を運ぶ場合も運送業に該当します。例えば、フードデリバリーを軽自動車で行う場合、運送業の許可を取らなければいけません。

 

なお、この記事では主にトラックを使った物流業界における運送会社について解説します。荷物を飛行機や鉄道で運搬するケースもありますが、このような場合は運送業には含まれません。

 

 

物流会社とは生産者からエンドユーザーへ商品を届ける一連の業務を行う会社のこと

物流会社は、メーカーが作った商品をエンドユーザーに届けるまでの一連の業務を担います。物流会社が担当する下記の業務は、物流6大機能と呼ばれています。物流6大機能は、下記のとおりです。

 

<物流業者が担う物流6大機能>

  • 輸配送:メーカーや生産者から消費者などのエンドユーザーへ商品を届けること。
  • 保管:物流倉庫などで商品を保管すること。商品の特性に合わせて冷蔵・冷凍などの保管設備が必要な場合もあります。
  • 包装:商品が汚れたり壊れたりすることを防ぐために、梱包材や段ボールを使って商品を梱包すること。
  • 荷役:トラックや飛行機、船などの運送機器に商品を積み込む作業や、荷下ろしの作業のこと。倉庫内での移動も含むため、ピッキングや仕分け、荷揃えも含みます。
  • 流通加工:商品をエンドユーザーに届けるためにラッピングしたり、箱詰めしたり、値札を貼り付けたりする作業のこと。商品に付加価値を与える作業を指します。
  • 情報管理:商品がエンドユーザーの手元に届くまでの一連の流れを、スムーズに行うためのシステム管理のこと。
物流の6大機能

物流は「輸送(配送)」「保管」「荷役」「包装」「流通加工」によって成り立っています。近年ではこれに「情報ネットワーク(情報管理)」を加え、「物流の6大機能」と呼ばれています。

 

物流会社はこのほか、物流システムの導入支援など、依頼主の業務効率化につながる提案や提供を行うこともあります。物流に関する総合的なサービスを提供するのが、物流会社だといえます。

 

物流会社についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

物流会社の役割は?委託するメリットや選ぶ際のポイントを解説

 

3PLについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

3PL(サードパーティロジスティクス)とは?物流サービスの基本を解説

 

 

運送と配送・輸送・運輸の違いとは?

運送、配送、輸送、運輸は、いずれも荷物や人の移動に関する言葉ですが、厳密には意味合いが異なります。

これらの言葉は、企業によって意味の捉え方や線引きは異なる可能性があります。物流関連の会社とやりとりをする際は、相手が言葉をどのような意味で使用しているのかを確認しておくと、認識のすれ違いが起こりにくいでしょう。それぞれの言葉の意味を詳しく解説します。

 

運送:トラックで荷物を運ぶこと

参考:運送業界向けオンラインマガジン|トラッカーズマガジン

運送とは、前述のとおり主にトラックで荷物を運ぶ業務のことです。自動車を使ったそのほかの業務も運送に含まれることがありますが、物流業界では一般的に、トラックによる荷物の運搬を運送と呼ぶことが多いでしょう。

日本では、国内運送の多くをトラックが担っています。トラックによる荷物の運搬は、日本の物流になくてはならないものです。

 

国内貨物輸送量の推移

出典:経済産業省・国土交通省・農林水産省「我が国の物流を取り巻く現状と取組状況」(2022年9月)

 

配送:近距離で荷物を運ぶこと

配送は、荷物を小売店や消費者などのもとへ運ぶことを指します。移動距離が短く、小口の配送が多数を占めます。配送には細い道などにも入りやすく、小回りがきく小型から中型トラックを使うことが多いでしょう。

なお、配送はメーカーから倉庫に荷物が運ばれた後に行われることから、「二次輸送」とも呼ばれます。

 

輸送:海外などから長距離で大量の荷物を運ぶこと

輸送は、大量の荷物をまとめてひとつの場所から別の場所へ運ぶ際に使われる言葉です。長距離であることが多く、海外からの移動や、物流拠点から別の拠点への移動などが該当します。

トラックだけでなく、航空機や船舶を使って行われることもあります。

 

なお、国内と海外を結ぶ輸送は「国際輸送業務」と呼びます。国際輸送業務では、国内での輸送にはない、さまざまな手続きや専門的な知見が必要になります。そのため、自社の輸送手段を持たずに、他社の運輸業者を利用して荷主の荷物を運ぶ「フォワーダー」と呼ばれる業者が仲介を行うこともあります。

 

フォワーダーについてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

フォワーダー(forwarder)とは?乙仲との違いや業務内容を解説

 

運輸:人や荷物を運ぶこと

物流が「物の流れ」を意味するのに対し、運輸は「人や荷物を運ぶこと」を意味します。荷物だけでなく人の輸送も含まれるため、電車や航空機、バスなどによる人の移動も運輸です。

一方の物流は、商品が消費者に届くまでに発生する業務全般を指します。運ぶ荷物は物流のほうが狭く、業務範囲は物流のほうが広いといえるでしょう。

 

■運送、配送、輸送、運輸の違いのまとめ

物流

(物流6大機能を担う)

運送 トラックで荷物を運ぶこと。中・長距離。
配送 荷物を小売店や消費者などのもとへ運ぶこと。近距離。
輸送 大量の荷物を運ぶこと。海外を含め、長距離。
運輸 旅客や貨物で、荷物や人を運ぶこと。電車や航空機、バスなどによる人の移動も含む。

 

 

運送業の業務内容とは?

運送業は、トラックで荷物を運ぶ仕事ですが、具体的な業務は「貨物輸送」「管理」「倉庫業務」の3つに分けられます。それぞれの具体的な業務内容は、下記のとおりです。

 

貨物輸送

貨物輸送とは、トラックを使ってドライバーが荷物を運ぶ業務のことです。荷主には個人も法人もいますが、業者によっては限られた範囲の荷主からの依頼しか受けない場合もあります。

 

管理

管理とは、予定どおりのスケジュールで荷物を運ぶための段取りを指します。具体的には、安全性と納期に配慮した輸送ルートの決定、必要なドライバー数を確保するためのシフト調整といった業務が該当します。

 

倉庫業務

倉庫業務とは、倉庫を拠点に荷物を運ぶ際に発生する、倉庫における業務のことです。例えば、入出荷業務、荷物の積み込みや積み下ろし、納品書の発行と受け渡しなどを指します。

 

 

運送業界の課題

物流を支える運送は、私たちの生活や経済活動に直結するため、安定的に維持されることが必要です。運送業界は現在、数多くの課題を抱えていますが、具体的にどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

 

小口貨物の宅配増加

EC市場の拡大によって、個人宅宛の小口貨物が増加しています。同じ量の荷物を運ぶ場合でも、特定の場所から別の場所に一度に運搬するのに比べ、小口の荷物をあちこちに運ぶのは手間がかかりますし、個人宅への配達は、不在による再配達といった問題も生じやすいのが特徴です。

 

一方で、トラックドライバーの就業者数は横ばいで、人手不足が続いています。ドライバーの高齢化も進む中で、労働環境の改善や人手不足解消をどのように行っていくのかが課題になっています。

 

世界的な燃料価格の高騰

世界的に燃料価格が高騰している昨今、ガソリン代が利益に直結する運送業界にも大きな影響が出ています。

 

標準的な運賃に、燃料価格の上昇によるコストを別途上乗せする「燃料サーチャージ」導入への理解を全日本トラック協会が求め、話題となりました。大手企業ではすでに燃料サーチャージは導入されていますが、中小企業の運送会社では立場が弱いため価格交渉に後ろ向きでした。今後は中小企業の運送会社でも燃料サーチャージが定着することが見込まれていて、サービスの在り方にも変化が見られます。

 

2024年問題への対応

2024年問題とは、2024年にトラック運転手に適用される労働時間の上限規制に関して、懸念されている各種の問題のことです。労働時間の上限が定められることで、トラック運転手の労働時間が短くなれば、これまでどおりのスケジュールで荷物を運ぶのが困難になると見込まれています。リードタイムが長くなれば、それだけ運送会社や物流業者の売上や利益が目減りする可能性もあります。

また、労働時間短縮によってトラックドライバーの収入が減れば、人手不足にも拍車がかかりかねません。

 

2024年問題については国も対応策を模索しており、2022年9月からは検討会が開催されています。具体的な施策は検討段階ですが、発荷主、着荷主、物流業者が三位一体となって課題解決を図っていくことが求められています。

現状の運送業界は、このように多くの課題を抱えているといえます。しかし、IT技術を駆使した物流システムを活用すれば、運送業務の大幅な改革と改善も十分実現可能です。経済活動や消費者の生活になくてはならない運送業を持続していくためには、物流システムの最適化がキーポイントとなるでしょう。

 

 

運送業務の業務改善に取り組むなら物流専門企業へ相談を

運送会社は、主にトラックでさまざまな商品を運ぶ業務を担います。安全で迅速、確実な荷物の運搬が実現できているのは、運送会社がいるからこそだといえます。

しかし、現在、運送業界は物流量の増加やトラックドライバー不足、燃料費高騰といった数多くの課題に直面しています。これらの課題を解決し、運送業務の効率化を実現するためには、物流業務全体の最適化が効果的です。運送業務だけのシステム化や最適化では、効果は限定的でしょう。荷主さまと運送会社が一体となって、物流全体を見直していくことが大切です。

プラス ロジスティクスグループは、最新システムを駆使し、物流全体の課題を改善する物流専門企業です。物流パートナーとして、それぞれのお客さまの状況に応じたご提案をしています。ぜひ一度ご相談ください。

 

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