ロジスティクス(logistics)とは?物流における意味をわかりやすく解説

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「ロジスティクス」は、「物流」と混同されることもある言葉です。しかし、ロジスティクスと物流は、厳密には異なる意味を持っています。ロジスティクスの正しい意味を知り、取り入れていくことで、ビジネスの効率化が期待できるでしょう。

ここでは、ロジスティクスの正しい意味と目的のほか、活用するメリットをご紹介します。

 

 

ロジスティクスは軍事用語から派生した言葉

そもそもロジスティクスとは、「兵站(へいたん)」を意味する軍事用語です。

戦中は、どのように部隊を配置し、どのように攻めるかが大切であると同時に、どのように物資を補給するかも重要です。どれほど優れた作戦を立案しても、それを実現するための物資が現場になければ意味がありません。

「兵糧攻め」という戦略があることからも、戦中における物資補給ルートの確保や最適な補給作戦の立案・実行が重要であるとわかります。兵站とは、このような補給計画の立案や実際の補給活動、または補給担当部署のことです。

現在はビジネスで利用されることも多いロジスティクスですが、軍事用語として使われる場合と大枠は同じ意味だといえるでしょう。原材料の調達、生産、輸送、梱包、販売という一連の物の流れを通して、商品は消費者の元に届きます。この物流を効率的に行う管理システムが、ロジスティクスです。

ロジスティクスを理解し、実践することがビジネスの効率化につながります。

 

ロジスティクスと物流の違い

同じ意味で使われることもあるロジスティクスと物流ですが、本来の意味は異なります。

物流は、商品の運搬や保管、ラベル付けといった物の流れを意味する言葉です。一方、ロジスティクスは、商品を作るための原材料の調達から消費者に物が届くまでのすべての流れを管理し、効率化するための考え方やシステムを指します。

原材料の調達と工場への運搬、商品の製造と小売店への納品、消費者へのお届けといった物流に関わる業務は、それぞれの担当部署が個別に対応する場合が多くあります。

しかし、実際にこれらは、すべてひと続きの経済活動です。一元管理を行うことで、それぞれの部署間が連携する際に生じる無駄をなくし、効率の良い作業ができるようになります。

 

 

 

ロジスティクスが求められる背景

近年、スマートフォンの普及によって、誰でも手軽にインターネットで通販を利用できるようになりました。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行によって、自宅で過ごす人や通信販売を利用する人も増えています。

こうした時代の流れによって、物流業界へのニーズが増え、抱える課題は刻々と変化しています。目の前の課題に対応し、生き残っていくためには、物流の在り方を見直す必要があるでしょう。なぜ今ロジスティクスが求められているのか、具体的な背景について解説します。

 

EC市場拡大、顧客ニーズの多様化

インターネットでの通販が当たり前になった昨今、個人宅への小口配送が増加したことで、物流件数は増え続けています。それに伴い、複雑化した配送ルートへの対応や、より細かい在庫管理が求められるようになりました。

「平日の日中は受け取れない」といった個人の細かいニーズに応えたり、再配達に対応したりするには、多くの手間とコストがかかるもの。また、誤配率は変わらなくても、配送の件数が増えれば誤配の件数は増加し、忙しさによるミスが起こる可能性もあります。

このような厳しい状況の中で、正確でスピーディーな配送を行い、顧客満足度を維持するためには、配送体制の見直しや効率化が必須です。

 

事例についてはこちらの記事をご覧ください。

65,000アイテムの在庫管理とオペレーションに柔軟に対応 │ ユアサ商事株式会社様

 

物流コストの上昇

物価の上昇が問題視されている今、物流コストも上昇を続けています。輸送費や倉庫家賃、人件費、梱包材にかかる代金、光熱費などの値上がりは、物流コストに大きな影響を与えます。

しかし、コスト増をそのままユーザーに負担させようとすると、顧客離れが起こりかねません。できるだけ物流コストを圧縮し、効率化することでコストの増加をカバーしていくことが大切。ロジスティクスによって、無駄を排した物流システムを構築する必要があります。

 

労働者不足

総務省統計局が発表した「令和3年 労働力調査年報」(2021年)によると、労働力人口は2021年平均6,860万人で、前年に比べて8万人減少しています。さらに、15~64歳の労働力人口は、前年比15万人の減少。少子高齢化が改善する見込みがない以上、今後も労働力人口の減少は加速していくでしょう。

さらに、物流の仕事は危険な作業や長時間労働、低賃金といった問題もはらんでいます。システムを効率化することで、少ない労働者でも無理なく業務を続けられるようにしなければいけません。

業務のシステム化を進めれば、危険な仕事を人が担わなくて良くなる可能性もあります。個人に負担をかけず、機械化によって効率を上げるロジスティクスが求められます。

 

 

ロジスティクス活用のメリットとは?

ロジスティクスを活用することで、業務の効率化やコスト削減が可能になります。ロジスティクスによって得られるメリットの具体例と、その理由について見ていきましょう。

 

正確な在庫管理

ロジスティクスによって倉庫管理や在庫管理がシステム化できれば、需要と供給の最適なバランスを分析しやすくなります。リアルタイムで商材の動きを正確に判断できるため、生産数の調整も容易に。これによって、在庫不足による販売機会の逸失や余剰在庫を抱えるリスクを回避できます。

さらに、倉庫内のどこに何があるかをシステム的に管理し、ピッキングの自動化を進めれば、注文から商品が届くまでの時間も短縮可能です。スピーディーに商品を届けられるようになりますから、顧客満足度の向上が期待できます。

 

物流のコストダウン

適切な在庫量を把握し、生産調整を行うことで、保管や輸送にかかるコストも圧縮できます。システム化によって物流が見える化すれば、どこでどのような問題が起こっているのかもわかりやすくなるでしょう。さらに、倉庫内作業や配送時に発生する無駄が明確になれば、改善案も出しやすくなります。

こうした課題解決や効率の良いコストダウンのためには、物流の専門業者へのアウトソーシングが効果的です。企業の状況に合わせた効率化の手法を提案してもらえますから、ぜひ相談してみてください。

 

営業サポート

企業によっては、営業担当者が発注内容に応じて商品の手配を行うケースがあります。このような場合、営業担当者本人が窓口となって、商品の配送状況の確認などを行わなければいけません。その分、本来の業務にかけられる時間が少なくなってしまいます。

こうした問題を解決するためにも、ロジスティクスが役立ちます。物流専門のスタッフやアウトソーシング会社にロジスティクスを一任することで、営業担当者の負担が軽減。システムに蓄積される物流管理データを活用すれば、より顧客のニーズに合った提案も可能になります。

 

 

ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントとの関係

サプライチェーンとは?物流工程をマネジメントするメリットを簡単に解説

製造業や小売業でよく聞かれる「サプライチェーン」という言葉も、ロジスティクスと混同されがちです。サプライチェーンとは、部品の調達から商品の製造、顧客への販売、配送といった流れや、それぞれのステップにおける企業の関わりを指す言葉です。物流が物の移動に焦点をあてているのに対し、サプライチェーンは、複数の企業が関わり合いながら製品を消費者に届ける一連のフローに焦点をあてています。

ロジスティクスは企業単体で行う物流の効率化やそのシステムですが、SCM(サプライチェーンマネジメント)では、サプライチェーンに携わる企業や業界が全体の効率化を目指します。1社だけでなく、業界内の複数社が共同で物流システムを作り上げることで、業界全体のコスト削減や生産性の向上を見込めます。

 

SCM(サプライチェーンマネジメント)

 

 

ロジスティクスを理解すれば業績アップにつながる

昨今の物流業界は、顧客ニーズの多様化や物流コストの増大、労働者不足といった課題を多く抱えています。こうした課題に対応し、業界内での存在感を強めていくためには、ロジスティクスを取り入れて物流を効率化するのが効果的です。物流のシステム化によって業務を自動化、見える化していくことで、業績アップを目指すことができます。

ただし、商材や業態に合った形でロジスティクスを導入し、効率化を実現するためには、物流システムに関する豊富な知識や市場の流れの理解が必要です。システム導入にはコストもかかるもの。失敗することがないよう、専門家のアドバイスなども取り入れながら進めましょう。

 

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よくある質問

Q1_ロジスティクスとは?
原材料の調達、生産、輸送、梱包、販売という一連の物の流れを通して、商品は消費者の元に届きます。この物流を効率的に行う管理システムが、ロジスティクスです。 ロジスティクスを理解し、実践することがビジネスの効率化につながります。
Q2_ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントとの関係とは?
ロジスティクスは企業単体で行う物流の効率化やそのシステムですが、SCM(サプライチェーンマネジメント)では、サプライチェーンに携わる企業や業界が全体の効率化を目指します。1社だけでなく、業界内の複数社が共同で物流システムを作り上げることで、業界全体のコスト削減や生産性の向上を見込めます。
Q3_ロジスティクスと物流の違いとは?
物流は商品の運搬や保管、ラベル付けといった物の流れを意味する言葉です。一方、ロジスティクスは商品を作るための原材料の調達から消費者に物が届くまでのすべての流れを管理し、効率化するための考え方やシステムを指します。

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