ロジスティクスとは?物流との違いや活用した物流改善事例を紹介

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「ロジスティクス」は、「物流」と混同されることもある言葉です。しかし、ロジスティクスと物流は、厳密には異なる意味を持っています。ロジスティクスの正しい意味を知り、取り入れていくことで、ビジネスの効率化が期待できるでしょう。

この記事では、ロジスティクスの正しい意味と目的のほか、活用するメリットを解説します。プラス ロジスティクスが手掛けたロジスティクスの事例もご紹介していますので、物流改善を目指す事業者の方は参考にしてください。

 

 

ロジスティクスは軍事用語から派生した言葉

そもそもロジスティクスとは、「兵站(へいたん)」を意味する軍事用語です。

戦中は、どのように部隊を配置し、どのように攻めるかが大切であると同時に、どのように物資を補給するかも重要です。どれほど優れた作戦を立案しても、それを実現するための物資が現場になければ意味がありません。

「兵糧攻め」という戦略があることからも、戦中における物資補給ルートの確保や最適な補給作戦の立案・実行が重要であるとわかります。兵站とは、このような補給計画の立案や実際の補給活動、または補給担当部署のことです。

現在はビジネスで利用されることも多いロジスティクスですが、軍事用語として使われる場合と大枠は同じ意味だといえるでしょう。原材料の調達、生産、輸送、梱包、販売という一連の物の流れを通して、商品は消費者の元に届きます。この物流を効率的に行う管理システムが、ロジスティクスです。

ロジスティクスを理解し、実践することがビジネスの効率化につながります。

 

ロジスティクスを構成する5つのR

ロジスティクスを構成する要素として、「5つのR」と呼ばれるものがあります。5つのRとは具体的には、下記のとおりです。

 

■ロジスティクス 5つのR

ロジスティクスを構成する5つのR

ロジスティクスの目的は、この5つのRを円滑に実行し、商品や資材の供給を行うことといえます。多くの手段の中から、さまざまなリスクや情勢を考慮し、事業者と商品ジャンルに合った物流を、適切に選んでいくことが重要です。

 

ロジスティクスと物流の違い

同じ意味で使われることもあるロジスティクスと物流ですが、本来の意味は異なります。

物流は、商品の運搬や保管、ラベル付けといった物の流れを意味する言葉です。一方、ロジスティクスは、商品を作るための原材料の調達から消費者に物が届くまでのすべての流れを管理し、効率化するための考え方やシステムを指します。

原材料の調達と工場への運搬、商品の製造と小売店への納品、消費者へのお届けといった物流に関わる業務は、それぞれの担当部署が個別に対応する場合が多くあります。

しかし、実際にこれらは、すべてひと続きの経済活動です。一元管理を行うことで、それぞれの部署間が連携する際に生じる無駄をなくし、効率の良い作業ができるようになります。

 

■ロジスティクスと物流の違い

 

 

ロジスティクスが求められる背景

近年、スマートフォンの普及によって、誰でも手軽にインターネットで通販を利用できるようになりました。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行によって、自宅で過ごす人や通信販売を利用する人も増えています。

こうした時代の流れによって、物流業界へのニーズが増え、抱える課題は刻々と変化しています。目の前の課題に対応し、生き残っていくためには、物流の在り方を見直す必要があるでしょう。なぜ今ロジスティクスが求められているのか、具体的な背景について解説します。

 

EC市場拡大、顧客ニーズの多様化

インターネットでの通販が当たり前になった昨今、個人宅への小口配送が増加したことで、物流件数は増え続けています。それに伴い、複雑化した配送ルートへの対応や、より細かい在庫管理が求められるようになりました。

「平日の日中は受け取れない」といった個人の細かいニーズに応えたり、再配達に対応したりするには、多くの手間とコストがかかるもの。また、誤配率は変わらなくても、配送の件数が増えれば誤配の件数は増加し、忙しさによるミスが起こる可能性もあります。

このような厳しい状況の中で、正確でスピーディーな配送を行い、顧客満足度を維持するためには、配送体制の見直しや効率化が必須です。

 

事例についてはこちらの記事をご覧ください。

65,000アイテムの在庫管理とオペレーションに柔軟に対応 │ ユアサ商事株式会社様

 

物流コストの上昇

物価の上昇が問題視されている今、物流コストも上昇を続けています。輸送費や倉庫家賃、人件費、梱包材にかかる代金、光熱費などの値上がりは、物流コストに大きな影響を与えます。

しかし、コスト増をそのままユーザーに負担させようとすると、顧客離れが起こりかねません。できるだけ物流コストを圧縮し、効率化することでコストの増加をカバーしていくことが大切。ロジスティクスによって、無駄を排した物流システムを構築する必要があります。

 

物流業界の人手不足

近年、配送や倉庫内作業を含める物流業界では人手不足が大きな課題となっています。2024年問題が取り沙汰され、国による対策が講じられてはいるものの、抜本的な課題解決はなされていない状況です。

物流業界では、トラックドライバーの高齢化による人手不足が慢性化しています。また、倉庫内作業については、倉庫内作業に慣れたスタッフやフォークリフト作業者など、倉庫内作業に適した人材の取り合いが発生し、人材採用に苦戦している事業者が多いのが実情です。

物流の仕事は危険な作業や長時間労働、低賃金といった問題もはらんでいます。システムを効率化することで、少ない労働者でも無理なく業務を続けられるようにしなければいけません。業務のシステム化を進めれば、危険な仕事を人が担わなくてよくなる可能性もあります。個人に負担をかけず、機械化によって効率を上げるロジスティクスが求められます。

 

物流業界の人手不足についてはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。

物流業界の人手不足の原因とは?深刻化の背景と今後の解決策を解説

 

 

ロジスティクス活用のメリットとは?

ロジスティクスを活用することで、業務の効率化やコスト削減が可能になります。ロジスティクスによって得られるメリットの具体例と、その理由について見ていきましょう。

 

正確な在庫管理

ロジスティクスによって倉庫管理や在庫管理がシステム化できれば、需要と供給の最適なバランスを分析しやすくなります。リアルタイムで商材の動きを正確に判断できるため、生産数の調整も容易に。これによって、在庫不足による販売機会の逸失や余剰在庫を抱えるリスクを回避できます。

さらに、倉庫内のどこに何があるかをシステム的に管理し、ピッキングの自動化を進めれば、注文から商品が届くまでの時間も短縮可能です。スピーディーに商品を届けられるようになりますから、顧客満足度の向上が期待できます。

 

物流のコストダウン

適切な在庫量を把握し、生産調整を行うことで、保管や輸送にかかるコストも圧縮できます。システム化によって物流が見える化すれば、どこでどのような問題が起こっているのかもわかりやすくなるでしょう。さらに、倉庫内作業や配送時に発生する無駄が明確になれば、改善案も出しやすくなります。

こうした課題解決や効率の良いコストダウンのためには、物流の専門業者へのアウトソーシングが効果的です。企業の状況に合わせた効率化の手法を提案してもらえますから、ぜひ相談してみてください。

 

営業サポート

企業によっては、営業担当者が発注内容に応じて商品の手配を行うケースがあります。このような場合、営業担当者本人が窓口となって、商品の配送状況の確認などを行わなければいけません。その分、本来の業務にかけられる時間が少なくなってしまいます。

こうした問題を解決するためにも、ロジスティクスが役立ちます。物流専門のスタッフやアウトソーシング会社にロジスティクスを一任することで、営業担当者の負担が軽減。システムに蓄積される物流管理データを活用すれば、より顧客のニーズに合った提案も可能になります。

 

 

ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントとの関係

サプライチェーンとは?物流工程をマネジメントするメリットを簡単に解説

製造業や小売業でよく聞かれる「サプライチェーン」という言葉も、ロジスティクスと混同されがちです。サプライチェーンとは、部品の調達から商品の製造、顧客への販売、配送といった流れや、それぞれのステップにおける企業の関わりを指す言葉です。物流が物の移動に焦点をあてているのに対し、サプライチェーンは、複数の企業が関わり合いながら製品を消費者に届ける一連のフローに焦点をあてています。

ロジスティクスは企業単体で行う物流の効率化やそのシステムですが、SCM(サプライチェーンマネジメント)では、サプライチェーンに携わる企業や業界が全体の効率化を目指します。1社だけでなく、業界内の複数社が共同で物流システムを作り上げることで、業界全体のコスト削減や生産性の向上を見込めます。

 

SCM(サプライチェーンマネジメント)

 

 

ロジスティクスが正しく機能するための要件

ロジスティクスが正しく機能するためには、下記の3つの要件があります。ここからは、ロジスティクスを取り入れる上で大切にしたいことを見ていきましょう。

 

売れる商品の把握

ロジスティクスは、消費者のニーズを把握し、売れる商品を売れるだけ市場に出していくという「マーケットイン」の考え方が求められます。ただ注文を受けた荷物を運ぶのではなく、市場での需要を客観的に分析することで、より戦略的に商品を市場に投入することが可能です。

 

在庫コントロール

ロジスティクスを取り入れるためには、販売数を正確に予測し、適正在庫を保つことが求められます。在庫は少なすぎると販売機会の損失につながり、多すぎるとキャッシュフローの悪化が生じます。在庫をコントロールするためには、その仕組みづくりが必要です。

 

データを活用した物流システムの構築

ロジスティクスは、物流を効率化するためにシステムによる管理を行います。専用のシステムを構築、導入することで、ニーズにすぐに反応して管理生産や輸送を計画化し、商品を提供できます。

こうした物流システムを機能させるには、生産データや入出庫データ、トラック動体データ、在庫データ、購買データなど、さまざまなデータを連携させ、一元管理することが求められます。

 

 

【導入事例】プラス ロジスティクスが受託し、ロジスティクスが実現したケース

ここからは、プラス ロジスティクスが荷主企業に提案し、実現することができたロジスティクスの事例を3件紹介します。

荷主企業さまが事業を拡大する中で、必ず表面化するのが物流の課題です。物流専門企業であるプラス ロジスティクスは、ロジスティクスを取り入れた専門的な知識と最新のシステムを活用して、荷主企業が目指す物流改革を具体化し、円滑なオペレーションを実現します。

各荷主企業さまで生じた課題と、プラス ロジスティクスが実現した物流改革を見ていきましょう。

 

ホームインテリア関連卸業者様の課題を洗い出し、物流を一斉改革

EC事業者向けのドロップシッピング(在庫を持たずに商品を販売し、商品は卸業者からエンドユーザーに直接発送する形態)対応卸サービスを展開している事業者様は、販売パートナーの数が120社以上に上り、ホームインテリア関連のアイテムを1,600以上取り扱っています。私たちプラス ロジスティクスは物流に関わる業務を受託し、10年以上にわたって倉庫運営を担ってきましたが、お客さまの事業が拡大する中で物流倉庫がキャパシティオーバーとなり、大きな課題となりました。そこでプラス ロジスティクスが提案したのは、物流を全面的に見直す全面改革です。

プラス ロジスティクスでは、ロジスティクスの考え方を取り入れて物流を全面的に改革しました。実現した物流改革のポイントは以下の3点です。

 

  • 新しい物流拠点の立ち上げ

最適な拠点数や立地を割り出し、データをもとに物量分析を実施。効率性とコスト削減を実現する新しい物流拠点を立ち上げました。

 

  • 物流プロセスを簡略化する仕組みづくり

物流拠点を1ヵ所に集約することで、煩雑になっていた商品入荷を簡略化。併せて最適なシステムを構築し、在庫管理の精度が向上しました。

 

  • 配送コストの最適化

煩雑化していた配送仕分けを見直し、これまで配送パートナーに委託していた一次仕分けをセンター側で実施。パートナー企業の負担を軽減した上で、配送コストの最適化を実現しました。

 

お客さまのお悩みをヒアリングした上で、物流専門企業ならではの調査力と実行力で、戦略に則った物流改革を実施することができました。

 

ホームインテリア関連卸業者様の事例について詳しくは、こちらの記事で詳しく解説しています。

7拠点の集約による商品調達業務の簡略化や配送コストの抑制 │ ホームインテリア関連通販企業様

 

オフィス家具通販運営会社様の物流の全体を見直し、顧客満足度の向上にも貢献

オフィス家具の製造・販売を行うオフィスコム様では、業績が好調に推移し、在庫量・入出荷量が増大。物流拠点の改革と、倉庫運営上のオペレーションの改善が急務となっていました。

プラス ロジスティクスは、オフィス家具といった大型商材の取り扱いを得意とするため、商品の特性を鑑みた物流改革を提案。最適な場所に最新の大型倉庫に拠点を据えることを決め、流通工程のすべてを見直すこととなりました。具体的な改革策は、下記のとおりです。

 

  • 複数に分散していた倉庫を一拠点化

分散していた複数の倉庫を集約し、最適な立地に物量に合った倉庫を立ち上げました。コストパフォーマンスに優れた物流ネットワークの再構築を実現し、物流の効率化に貢献しました。

 

  • 倉庫内のレイアウトを最適化

商品特性に合わせた保管機器の選定と積み付け数を検討し、現場が使いやすい倉庫内レイアウトを構築。天井高を活かすために特注ネステナーも導入し、保管才数を最大化することができました。

 

  • 組立設置サービスの高品質化を実現

対応力のある既存の配送ネットワークを活かし、他社にない組立設置サービスを高品質・安定的に供給することを実現。顧客満足度を向上させることができました。

 

オフィスコム様の事例について詳しくは、こちらの記事で詳しく解説しています。

拠点集約移転による管理精度向上とオペレーション費用抑制 │ オフィスコム株式会社様

 

大型家具販売会社様の物流改善を担い、ロジスティクスで最適な物流改革を実現

アパレル事業を展開されているベイクルーズ様からは、大型家具・インテリアブランド「ジャーナル スタンダード ファニチャー」「アクメ ファニチャー」の2ブランドについて、物流・倉庫運営、配送に関わるご相談がありました。アパレル商材と大型家具では、在庫管理や配送、デバンニングなどさまざまな面で勝手が異なります。そこでプラス ロジスティクスでは、大型家具に適した在庫管理や倉庫運営、配送方法を提示し、徹底的な物流の効率化を図りました。ロジスティクスを取り入れた具体的な改革策は、下記のとおりです。

 

  • 大型倉庫の立ち上げ、オペレーションを改善

お客さまの商圏・届け先から拠点を選定し、売上拡大を見越した大型倉庫を立ち上げました。天井高を活かし、効率の良い保管、丁寧な商品管理などのオペレーションを改善しました。

 

  • 在庫管理システムを導入し業務改善

アナログに行われていた在庫管理をシステムで一元管理化。棚卸もスムーズかつ正確にできるようになりました。

 

  • 顧客満足度が向上する付加サービスを実施

パートナー企業との協働で、丁寧な配送と家具組立を実施。エンドユーザーの顧客満足度を上げる物流品質の向上で、事業拡大を後押ししています。

 

ベイクルーズ様の事例について詳しくは、こちらの記事で詳しく解説しています。

大型家具に適したオペレーションの導入で物流品質を改善|株式会社ベイクルーズ様

 

 

ロジスティクスを理解し、物流を改善して業績アップにつなげよう

昨今の物流業界は、顧客ニーズの多様化や物流コストの増大、人手不足といった課題を多く抱えています。こうした課題に対応し、業界内での存在感を強めていくためには、ロジスティクスを取り入れて物流を効率化するのがおすすめです。物流のシステム化によって業務を自動化、見える化していくことで、業績アップを目指すことができます。

ただし、商材や業態に合った形でロジスティクスを導入し、効率化を実現するためには、物流システムに関する豊富な知識や市場の流れの理解が必要です。プラス ロジスティクスは物流の専門家として、お客さまに適した新しい物流の形をご提案します。ぜひお問い合わせください。

 

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ロジスティクス(logistics)に関するよくある質問

Q1_ロジスティクスとは?
原材料の調達、生産、輸送、梱包、販売という一連の物の流れを通して、商品は消費者の元に届きます。この物流を効率的に行う管理システムが、ロジスティクスです。 ロジスティクスを理解し、実践することがビジネスの効率化につながります。
Q2_ロジスティクスとサプライチェーンマネジメントとの関係とは?
ロジスティクスは企業単体で行う物流の効率化やそのシステムですが、SCM(サプライチェーンマネジメント)では、サプライチェーンに携わる企業や業界が全体の効率化を目指します。1社だけでなく、業界内の複数社が共同で物流システムを作り上げることで、業界全体のコスト削減や生産性の向上を見込めます。
Q3_ロジスティクスと物流の違いとは?
物流は商品の運搬や保管、ラベル付けといった物の流れを意味する言葉です。一方、ロジスティクスは商品を作るための原材料の調達から消費者に物が届くまでのすべての流れを管理し、効率化するための考え方やシステムを指します。

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